無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

挿しす世相史「日本新聞協会創立総会が開かれる」

 昭和21年7月23日(火)13時、市政会館内に有った発足間も無い共同通信社内に於いて、日本新聞協会の創立大会が開かれました。

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 これは日本全国の新聞社、通信社を糾合して作られた業界団体で、新聞倫理水準の向上を主目的とした権威の機関として作られたという事です。

 

 発足直後に、先ず倫理頭領を作成・発表し、新聞休刊日を取り決めたり、物資不足に伴う用紙危機対策のタブロイド版発行決定など、特に設立初期には重要な取り決めが幾つも行われました。

 

 日本社会、新聞業界が安定していくにつれ、その役割は徐々に形骸化していったようにも取れますが、何か重大な事件や表現への圧力と取れるような事が有った場合などに意見を世間に発信したりと、折々に存在意義を発揮しています。

 

 

 

 

*1:昭和21年7月24日付読売新聞

恥痴呆談「ホリプロがついに松居一代を訴えると表明」

Gさん(仮名)「とうとう、ここで芸能話を扱ってしまいましたね」

ごいんきょ「今週は、なんか語りたくなる社会的な話が無かったしなあ」

 

G「ん? 蓮舫さんの国籍会見とか、稲田防衛大臣の更なる不手際とか有りましたよね」

ご「いやあ、どっちも今一つ そそられないな。

  稲田に関して言えば、とっくに罷免していなければおかしい存在なんだから。わしから言わせれば幽霊が出たって騒いでいる感じ?」

 

G「そこまで鼻にも掛けてないって…(苦笑)」

ご「蓮舫も基本は同様だけど、差別差別って騒いでいる連中が例によって鬱陶しいっていうかな。一般人と政治家を同次元で語ってはいけない。政治家のプライバシーなんて、極限まで制限されるんだから」

 

G「なんだかんだで、語ってませんか(苦笑)」

ご「いやあ、これが安倍晋三とかなら語るけど、民進党の党首で、しかも蓮舫がどうであろうと、我々にはなんの影響も無いじゃない(笑)。

  こんな事で思索や打鍵するだけ時間の無駄って思うわけ」

 

G「どちらもそこまで歯牙にも掛けていないというのはわかりました(苦笑)。

  で、なぜ松居一代さんを?(笑)」

ご「次のネット熱闘録では、扱いたい案件がいっぱい有ってね。で、”事件”って感じになりつつある感じだし、こっちで語っておくかと」

 

 

松居一代騒動ついに法廷闘争へ?

G「ホリプロが、とうとう腰を上げたんですよね」

ご「まあ、当然の反応だよな(笑)。これは当然の話。

  松居がブログに書いたり動画で流した事の中には、完全に一線を越えていたものが幾つも有る。で、本人はそれを疑い無くやっている。つまり、ホンモノなわけ(笑)。

  踏み止まっている人間は、自分はひょっとしたら常識から外れた事をしているのではないかという懐疑や遠慮を、どこかに、僅かでも持っているものだけど、彼女はそれが微塵も無い。ホンモノなんだよ(笑)。

  でまあ、ホンモノの人には話は通じないのね。と言うか、下手に相手のかんに障る語句が入ると更に悪化するから。だから船越とか小朝とかが何も言わないというのは、実に正しい行動なわけ。

  多分、長年の経験から実地で悟ったんだろうけどね。男は誰でも、大なり小なりそういう部分が有るはず(笑)。

  話が通じない以上、強制的に一線を越えている部分だけでも行動を止めさせる他は無いわけだけど、これもやり方を間違えると表現の自由を阻害したという地雷を踏みかねないので、なかなか繊細な案件ではあるけどな(笑)」

 

G「彼女がホリプロを攻撃している事について、矛先を変えたとか言っている人もいますよねえ」

ご「アホかと(笑)。どんだけ読み取る力が無いのかと思うね。

  彼女は一番最初の時からホリプロの力を匂わせていたし、わしもそこを一番に採り上げたしな」

 

G「実際、松居さんを悪役に仕立てての離婚に持って行こうとホリプロが絵を描いていたんでしょうか」

ご「わしは十二分に有りうると思うよ。女性セブンがネットに全文を公開した記事が有るんで、それを例にしてみるけど」

 

G「なるほど~。全編、松居さんを悪役にしてますね。普通、芸能人夫婦が離婚危機にあるという報道の場合、こうまで片側を悪役にしないでしょう」

ご「その事実は書いたとしても、記者の書いている部分はどちらにも肩入れしないのが普通だよな。ところが、この記事は明らかに船越の側だけに立っているわけ。しかも、当の松井のコメントも載せていない。

  一番問題なのは、このポルシェを買ったのは松井自身だったらしいって事だよ。それまで”船越の最後のプレゼントのつもりでしょう”とか、徹底的に船越上げになっているわけ。物凄く不自然だね、わしが見ても。

  しかも、こうした報道が執拗に何度も、それも女性セブンを舞台にして有ったわけだから、そこには誰かしらの意思は絶対に働いていたわけ」

 

G「しかも最後が、『高笑いで帰路についた』って、ここまで悪し様に書くのって、これも名誉毀損ものでしょう」

ご「ああ。先に足を踏んだのは女性セブンであり、更にはその背後にいる存在なんだよな。先に言ってしまえば、ホリプロ関係者だろう。そういう事も有ったから、なかなか法的措置に踏み切れなかったんじゃないか? お互い様なんだよ。まさしく泥仕合

 

G「船越さん本人は何も言っていないですけど、芸能関係者だの船越さんの友人だの正体不明の人々が、妙に詳しく内情を語っていますよね(笑)」

ご「だから、そこも卑怯なんだよ、わしに言わせれば。

  喧嘩するなら、愛想を尽かしたなら、きちんと自分が汚れて処理しないと。自分の事なんだから。そこを誤魔化した事が、今回の泥沼化の最大の要因だよ。どれほど難儀しようとも、自分で引導を渡さなければいけなかったんだよ。

  で、女の松井の方が汚れるのも厭わずに真っ向から身一つで喧嘩している。非常に男らしいよ(笑)」

 

G「船越さんが、離婚したいけどどうしようって事務所に相談したら、事務所の方で『任せとけ』って話になったんですかね」

ご「そう考えると最も話の辻褄が合ってくるんだよな。だから、これを夫婦喧嘩と言っている人も多いけど、”夫婦喧嘩”でなくなってしまった事がこれだけ問題化した原因だと思うんだよ」

 

G「で、事務所の方としては所属タレントの価値を毀損したくないので、松居さんの方を一方的な悪役に仕立てる工作をしたと」

ご「わしが見ても、そう考えるのが自然だと思うよ。それはわしも最初から匂わせたし、”矛先を変えた”とか言ってる人間は、ちょっと文才が無いと思う」

 

G「こんな事をネット上で書いて、ホリプロから訴えられたらどうするんですか(苦笑)」

ご「いやあ、わしからはそう”見える”という話だから。

  決めつけはいかんよ、決めつけはね」

 

G「出たっ! 伝家の宝刀(笑)。

  それって、”間違い無いからそう思え”って事ですよね(笑)」

 

ご「いやいや(苦笑)。絵を描いたのがホリプロ関係者とは限らない。女性セブンの記者個人かもしれないし、それこそ船越の友人かもしれない(笑)。ま、わしにはホリプロ側と考えるのが一番腑に落ちるという話だし、松居一代もそう考えているんだろう。

  いずれにしても、何者かが松居一代だけを悪者にして離婚へと導こうと絵を描いた事は間違い無いだろう。”夫婦喧嘩”の話ではなくなっていたんだよ、既に」

 

 

 

テレビ主題歌音盤史 ~子供向けドラマ編~(9)

ウルトラマン

 説明不要の、日本を代表する巨大ヒーロー作品です。

 円谷プロがこの作品からカラー制作へと舵を切ったのは、海外販売を視野に入れたものでした。 そうした発想は早くから有ったのに、権利関係の詰めがあまりに甘すぎたために、今では海外展開が非常に不自由となっているというのは、あまりにも皮肉です。

 皇太子殿下が浩宮殿下と呼ばれていらした頃、この『ウルトラマン』と『ジャングル大帝』がお好きであると報じられています。情報出典が不明ながら、昭和42年に初めてデパートでのお買い物を体験された際に怪獣図鑑をお買い上げになっているので、事実であろうと思われます。

 

 凄まじい人気番組であり、しかも日音主導による全社均衡の音源貸し出しにより、放送当時に限っても非常に数多い音盤が制作されました。

 中で破格に多く売れたと思われるのがテイチクのレコードとソノラマのシートです。

 その他には、レコードがコロムビア東芝(2種)、キングは『オバケのQ太郎』との抱き合わせ、更にレコード針で有名だったナガオカまで、『快獣ブースカ』との抱き合わせで発売しました。

 

 シートは、コロムビアとテイチクがシートでも発売し、更にミュージックグラフ。コダマプレスがシートで、朝日ソノラマ勁文社、ビクター、現代芸術社は、それぞれ2種ずつをこれもシートで発売しています。

 これだけの社が発売した上に、そのうち7社もが2種ずつ発売したというのは、全体として考えたら、かなりの市場規模だった事が伺えます。

 流石に音盤売り上げも「ウルトラ」だったわけです。

 

 

わんぱく砦

 『バックナンバー333』の後番組である、日曜18時30分からのダイハツ提供枠の番組です。

 『シャボン玉ホリデー』と『バットマン』に挟まれるという状況としては合格の視聴率を弾いたようで、一年近く放送され、その後も暫く子供向け時代劇路線が続く事となりました。

 

 子供版七人の侍という風情で、様々な得手を持つ子供七人の集団が、あちこちの困り事を解決するという話のようです。

 経理役の伴刀左衛門(ばん・とうざえもん=番頭のもじりと思われる)を、子役時代の火野正平が演じていました。*1

 また、怪力の十杯役を古川ロッパの倅である古川ロックが演っていました。

 

 音盤はテイチクの独占で、レコードとシート、二種類を出しています。

 シート版の方は、ドラマも収録されました。 

 

 

アタック拳

 これまた『わんぱく砦』の少し後から始まった、日曜18時半枠で、『シャボン玉』『バットマン』 に加えて『わんぱく砦』に先行されたため散々だったと見えて、僅か14回で終了となりました。

 自動車による移動レストラン”アタック軒”の安宅拳太郎の元へ指令が下ると、彼はスーパーエンジンのポンコツカーを駆り出し、特殊任務を遂行するという、スパイブームを反映した、川崎のぼる原作漫画の実写化作品です。

 『スパイキャッチャーJ3』の後継作品とも捉えられますが、こちらの方は、ややユルい感じの作りだったようです。

 

 これも何故か真裏番組の『わんぱく砦』同様にテイチク独占となっており、これまたレコードとシートの両面展開が採られています。

 シートにドラマが収録されているのも、『わんぱく砦』同様です。

 

 

 

*1:「'60年代甦る昭和特撮ヒーロー」石橋春海(コスミック出版)

昭和唱和ショー「氷屋」

Gさん(仮名)「今回は梅雨明けに相応しい題材ですね」

ごいんきょ「しかし、”氷屋”と言われると、かき氷を食べるお店と勘違いする人間が多そうだな、今は」

 

G「かき氷の元となる、氷そのものを売るお店ですよね」

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ご「そう。四角くて大きい氷の塊を売る店だな。医者とか魚屋とか相手に。昭和30年代までは各家庭に配達したりもしていたわけだが」

 

G「なんで家庭に配達したんでしょう」

ご「そりゃ、電気冷蔵庫が高嶺の花だった頃は、氷の冷気で冷やす冷蔵庫だったからだよ」

 

G「ああ、聞いた事あります。どのくらいの氷を使っていたんですかね」

ご「毎日、五貫匁(かんめ)くらいだったようだな。1貫匁は3.75kgって事なんで、20キロ足らずかい」

 

G「うひゃ~、毎日そんなに氷を必要としていたんですか、その冷蔵庫を使うと」

ご「だから、電気冷蔵庫ほどの高級品ではないと言っても、貧乏な家には無かったと思うよ」

 

G「でも、日本は空気と水はタダってくらいですから、氷そのものはそんなには高くなかったんでしょうね」

ご「べらぼうに高いってわけでもないけど、やはり毎日買うとなると結構な出費だよ。昭和30年頃で一貫匁30円くらいだったようだ。今の価値だと500円くらいなのかねえ。

  そして、料金を誤魔化す店が多かったらしい。一説には、氷屋の8割が誤魔化していたという話も有る」

 

G「誤魔化すって、どうやって?」

ご「そりゃ、重さを少なめにして渡すのよ。それだけの氷の重さをいちいち確認する家も少ないだろうから、少しずつでも数が重なると馬鹿にならなかったんじゃないの」

 

G「でも、体重計くらいは有る家だって有ったでしょうから、確認する家だって少なくなかったのでは?」

ご「その場合はな、運んでいる途中で溶けたんでしょうと開き直るんだ(笑)」

 

G「え~。確かにそう言われてしまうと、あまり強くは言い返せないでしょうねえ」

ご「それで問題となったんで、東京都経済局が昭和28年に調査した事が有ったのよ。調査した94店中64店、68%の店で貫匁不足だったそうだ(笑)」

 

G「えっ! 普通に7割の店が不正に少なく売ってたんですか」

ご「製造元では元々36貫匁(135kg)の氷を売っていたというんだが、それこそ目減りを四貫匁くらい計算していたらしいんだな。それなのに小売店側は、その目減り計算分を自分たちの懐に入れるために、36貫匁あるものとして売ってしまうと。だから本当に目減りした分は、個々のお客が被る事になっていたわけ」

 

G「でも、その調査の後は改善されたんでしょう?」

ご「都からお目玉喰らったわけだけど、その後もそういう店はやはり有ったみたいだね。夏場になると毎年のように話題になってる(笑)。

  結局、どうせ溶けるものだからって事で、少なく渡すのは当たり前って考え方のままだったみたいだな、その頃は」

 

G「で、電気冷蔵庫の普及と共に、段々と商売が厳しくなっていったんですね」

ご「昭和30年代までは、どこの商店街でも氷屋さんって有ったはずだもの。でも、今やそうそう見かけないだろう」

 

G「ま、田舎の方では商店街そのものもどんどん無くなってますけどね」

 

 

 

*1:昭和29年8月17日付読売新聞

テレビを陵駕しつつあるネット視聴

Gさん(仮名)「10代、20代のネット利用時間がテレビ視聴を上回っているという記事なんですけど」

ごいんきょ「これさあ、捉え方の本質を誤っていると思うよ。”年代が低いほど”ネット時間が長いのではなくて、ネットを利用できる環境にある人間なら、世代は関係無くネット時間の方が長いんじゃないの?

  わしなんか、テレビの視聴時間はほぼ皆無。ネット時間は8時間くらい有るぞ(笑)」

 

G「その辺は感じますね。単に若い世代は誰でもネット環境を持っているという話に過ぎないのだろうと」

ご「ネットが出来たら、今のテレビなんか見てられないもんなあ。せいぜいドラマくらいだろ、ネットが勝てないのって」

 

G「スポーツや報道などの中継ものにしても、ノーカットで流しますしね、ネットなら。一方、ドラマとかは制作費をつぎ込めないから、やはりまだテレビに分が有りますね」

ご「今のテレビで一番酷いのが”バラエティ”と呼ばれている番種だけど、それはテレビも制作費をつぎ込めなくなっているので、やはりつまらないのが圧倒的に多いしな。

  何よりも、面白くもない事をテメエらでゲラゲラ笑い合う”お笑い芸人”がゴキブリ並に画面を占拠していて、ウンザリするもの。お前らが笑ってどうすんだよって」

 

G「でもネットでも、アマゾンで松本人志がやっていたアレもかなり酷かったですよ(苦笑)」

ご「あれは企画が駄目だったという話だし、所詮は仲間内でゲラゲラ笑い合う世界の延長に過ぎないしな。ああいう世界に毒された奴は、ネットで独特のことは出来ないんじゃないの?

  ああいうの見るくらいだったら、ユーチューバーの動画の方がまだ見られるんだよ、わしは。お仕着せの笑いが無いだけね。

  やっている事はどうでもいい事ばかりなんだけど、それは今のテレビも同じなわけ(笑)。すると、くだらない連中がゾロゾロとウザったい画面を見るよりは、一人でやっているものの方がすんなりと見られる。

  で、見始めると意外にハマっちゃって、関連動画を次々と漁っているうちにアッと言う間に数時間が過ぎてしまうという(苦笑)」

 

G「なんで今のテレビは必要無い人間がゾロゾロといっぱい出てるんでしょうね。経費も苦しいらしいし、減らせばいいと思うのですが」

ご「今のテレビはな、”視聴者”のためのものではないんだよ。あくまでも向こう側の人々のものなわけ。向こう側というのは、出演者であり、制作者であり、代理店であり、提供者でありだけど。

  だから画面がうるさくなるワイプだって、視聴者に見やすい画面を提供しようと思ったらあんな馬鹿みたいに多用できないわけだけど、絶対に無くならないの。頭数だけ集めた出演者たちを少しは映さないと、本人も事務所も納得しないからな」

 

G「なるほどねぇ。そういう点では、余計なワイプやゾロゾロと不必要な出演者がいないだけ、そういうどうでもいい見世物はユーチューバーの方がまだましって事ですか」

ご「少なくとも、わしはそうだけどね。

  それに、テレビは放送できないことも多いし。松居一代の動画をネットを出来ない主婦が見たいと思っても、もうホリプロの働きかけで無理になっているわけだろ(笑)」

 

G「あれ、世間に訴えてるというより、段々と動画制作が楽しみになってるんじゃないですか?(苦笑)」

ご「おちんちんシールとか、地上波では絶対に流せないだろ(笑)」

 

G「いやですねえ(真顔)」

 

 

 

漫画投句「ふしぎトーボくん(ちばあきお)」

 

Gさん(仮名)「これは、ここでも扱った『キャプテン』『プレイボール』の作者である、ちばあきお先生の作品ですね」

ごいんきょ「そうなんだけど、作品世界はエラく違ったものになっているがな」

 

G「スポーツを描いた漫画ではありませんしね」

ご「いや、そういうこと以上に、世界観が全く正反対と言うかな。

  その二作は前にも書いたけど、友情・努力・勝利のジャンプ三原則を植え付けた漫画だったわけ」

 

G「ええ、ええ。その三原則が、ちば漫画から始まったはずだというのは、当時は漫画三段だった、あなたならではの指摘でした(笑)」

ご「ところが、このトーボくんは、先ず友達がいないのね(笑)」

 

G「あ~… それまでの自分が築いた世界を一旦全部崩した感じですかねえ」

ご「”努力”も無い。むしろグータラだけど(笑)、不思議な能力は幾つも持っているの。でも、それは努力で勝ち取った才能ではないのね。

  で、勿論、勝利する事も無いわけ。だって、誰かと張り合うって事が無いから(笑)」

 

G「作品世界を理解するのが難しそうですねえ(苦笑)」

ご「読まないと全く伝わらないと思うが、一応は説明すると、主人公のトーボは小学生で、動物と話をすることができるんだな。それどころか、昆虫や、草花、ひいては地球や星々とも」

 

G「なんだかアブナイ人みたいな…(苦笑)」

ご「それで、周りから変な眼で見られるし、他の人間とも今一つなじめないって事で、父親から施設に入れられていたんだな。物語は、彼が数年ぶりに戻ってくるところから始まる」

 

G「ちょっとメルヘンっぽい感じですかね」

ご「そういう要素も多分に盛り込まれているけれど、もう少し深さも有るんだな。ただ、その深さは表面を眺めていてもわからない。底無し沼のように、ちょっと見、ただの水たまりぐらいかと思って足を踏み込むと、入れれば入れるだけズブズブと深みにはまっていくというな」

 

G「表面でいいので、もう少し理解できるように説明して下さい(笑)」

ご「だから、そんなトーボが、最初はやっぱり動物としか話す気にならないんだけど、一人の少女を切っ掛けとして少しずつ話をする人間が増えていって、学校生活もなんとか過ごせるようになっていく話。

  でも、そういうのが柱ではなくて、あくまでも中心的に描かれるのは、トーボの持つ不思議な能力なのね」

 

G「動植物と話するだけではなくて?」

ご「彼にはUFOも、宇宙人も見えるし、会話も出来る。しかも、それは他の人間には見えないし聞こえない(笑)」

 

G「う~ん… ますますアブナイ感じの話になりませんか(苦笑)」

ご「でも、それが実際の能力として描かれているからね。で、動物たちにもUFOは見えるの。でも、彼らも飼い慣らされたせいか、宇宙人は見えない(笑)」

 

G「トーボくんは、犬猫よりも野生の能力を持ってるんですか(笑)」

ご「そうした不思議な力を、言葉では表現不可能な、ちばあきおならではの木訥とした雰囲気の中で描いていくんだよ。あれは絶対に他の漫画家では描けない世界。唯一無二の漫画だね」

 

G「じゃあ、『トーボくん』は別の作者で復活させようとしても無理ですね」

ご「ああ。後から作者名を図々しく上書きする恥知らずな漫画家は出て来ないだろう。商売にもならないだろうし」

 

G「そこまで言っていいんですか(苦笑)」

ご「それだけ独特な世界って事ね。

  ただ、終わり方があまりに唐突だったんだよな」

 

G「どんな終わり方だったんですか」

ご「それが、トーボには人の嘘を見抜く能力も有ったのよ。最初のうちはみんなにチヤホヤされるんだけど、段々とみんなから不気味がられて、また浮いてしまうわけ」

 

G「たしかに、どんな嘘でも見抜くような人間が居たら、あまり近づきたくないですよね(苦笑)」

ご「子供の世界でも、それはそうなるだろうからな。

  で、トーボはまた施設に戻ってしまうという、唐突で、しかも救いの無い終わり方だったんだ」

 

G「うーん… なんか話の内容といい、既にその時からちば先生は疲れていたんでしょうかねえ」

ご「かもしれんな。だから、ひたむきな友情・努力・勝利の世界から暫く離れたかったのかもしれん」

 

G「そして、トーボくんの後が絶筆となる『チャンプ』ですね」

ご「ボクシング漫画でな。団体競技ではないから”友情”こそ描かれていないが、”努力”に関しては本当に ちばあきお ならではのネチっこさで描いていて、どんどん面白くなっていたんだがなあ。

  わしは月刊で毎月読んでいたから、あの自殺報には本当に驚いたよ」

 

G「ちばあきお先生の業績だのなんだので、やたら『キャプテン』『プレイボール』が持て囃されますけど、『ふしぎトーボくん』のような木訥とした世界こそが、ちば先生本来の世界だったかもしれませんよねえ」

ご「元々がそういう作風だし、あの絵にはああいう世界の方が合うよ、やはり。『キャプテン』『プレイボール』だけで ちばあきお云々を語るのは、ちょっと待ってって感じなんだよな、わしは。

  『チャンプ』でまた、あくなき勝利への追求を描き始めてしまったことが、彼の死期を早めたのではないかなと、今は思うんだ」

 

 

酒とバカラの日々「Black&White(ロック)」

競馬

第53回 農林水産省賞典

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 馬場が悪かったので絶対に荒れるとは思ったのだが、なかなか思い切っては狙えないねえ。

 

 

Black&White(ロック)

 ストレートでは甘ったるい感じで、今一つだった銘柄。

 ならばとロックにしてみたら、これはなかなか愉しめるように。

 ジョニ赤にかなり近い感じだが、あちらの方がやや洗練されている感じが。

 ま、先入観かもしれないが。

 

 ピートっぽい味・香りも出て来たし、甘い感じも程良くなったし、ジョニ赤同様、ロックなら十二分に飲れる酒だ。

 値段はジョニ赤よりもやや安いし、常備酒にしても良い次元だな。

 尤も、今はいろんな酒類を愉しみたいのが優先だし、千円スコッチはまだまだ果てしなく存在しているので、これが空いたら暫くは飲まないと思うけど。

 その点、ジョニ赤はまた飲みたくなるのは、やはりブランド信仰みたいなものなのかも。