無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

昭和唱和ショー「餅つき」

Gさん(仮名)「いよいよ年も押し詰まってきましたが、年の瀬企画の最後って感じですね」

ごいんきょ「臼と杵での餅つきも、かなり特殊な場所でないと見なくなったな」

 

G「これは、いつ頃まで有ったんでしょう」

ご「わしの記憶する限りでは、昭和50年代に入る頃に消えたな」

 

G「それまでは普通に見られましたかね?」

ご「幼稚園なんかでは、子供の教育がてらか、やっていた所は多かった気がする」

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G「この写真もそうですが、先生が杵をつく間に、子供たちが水に手を付けて、素早くこねるんですね」

ご「餅は蒸したてだからホカホカで熱くてな」

 

G「普通の家では、やってませんでしたかね」

ご「昭和30年代だと、そこいらで見られたのかもしれないが、昭和40年代も後半になると、けっこう大きな家でないとやらなかったと思うよ。わしは、親父の社長の家が毎年やっていたのに行っていたが」

 

G「搗き終わった後、出来たてホカホカのお餅が美味しかったですね」

ご「子供はやっぱり、餡ころ餅が楽しみだったよな。次にきなこ餅。餡子だって、各家できちんと手作りしていたんだから」

 

G「だって、出来上がった餡子なんて普通に売ってませんでしたからね」

ご「餅搗きの朝は小豆を煮るところから女たちの戦いは始まっていてな」

 

G「東京はともかく、田舎の方では昭和40年代なら普通にやってましたね、餅搗き」

ご「わしの田舎ではやっていたがな。東京の社長の家は、昭和40年代末にやらなくなった」

 

G「やはり面倒だからですかね」

ご「それ以前に、自動餅つき器が登場したんだよ」

 

G「ああ。あれ、使っていた家が本当に有るんですか」

ご「餅搗きやっていた家で導入した所は多いんじゃないか」

 

G「見た目とか味は杵搗きと変わらないんですか?」

ご「いやあ、全然違ったな。先ず、キメが細かすぎて。それ故に妙にノビが良かった気がするし。なんだか同じ餅とは思えなかったよ」

 

G「手で杵搗きした餅は、粒っぽい感じが有りましたね」

ご「そう。それが全く無くてさ。いま売ってる切り餅を柔らかくした感じか」

 

G「やはり手での杵搗きが美味いですかねえ」

ご「好みだろうけどな。わしは昔の、あの感じの餅をもう一度食べてみたいよ。でも、手でこねたものは、なんか嫌だな、今(苦笑)」

 

G「ねえ。あの頃はなんとも思わなかったのに。日本人も妙に潔癖になったという事でしょうか。おにぎりも素手で握らなくなりましたよね」

ご「寿司は平気で食べるけどな。あれは酢をマメに付けてるからいいんだな。餅も酢を付けて捏ねれば食べられるかも」

 

G「酸っぱくなって不味いでしょうに」

ご「んじゃあ、ウヰスキーで捏ねてもいいや」

 

G「昔の西部劇で怪我した男が消毒する場面じゃないんだから。ウヰスキー中毒気味のあなたしか食べませんよ、そんなの」

 

 

*1:昭和36年12月1日付読売新聞