朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(60)
荒野の少年イサム
現在に至るまで、連続物としては唯一の西部劇テレビまんがだと思われます。週刊少年ジャンプに川崎のぼるが連載していたものですが、原作は山川惣治が絵物語で発表していたものです。
ジャンプ版は、イサムの幼少時代から軸となる登場人物がしっかりと描かれていく大河ドラマのような壮大な物語でしたが、子供向けのテレビまんがとしては不向きだったために、もっと単純な一回完結ものへと品質を下げられてしまいました。
尤も、原作通りの殺人当たり前という描写を、お食事時のテレビまんがにするのは不可能な事で、元々がテレビには勿体ない作品でした。
当時提供の日本水産が、紙鉄砲を配布していました。これは、その頃はよく紙を折って作ったものですが、思い切り振り下ろすと畳んでいた部分が外に飛び出し、その際に紙が「パン」と大きく鳴るというものです。
日水製のものは厚紙で銃の形になっており、飛び出す部分だけが薄い紙で折り込まれ、握りの部分などにイサムやウインゲート一家などが描かれていました。
音盤としては、タイガーレコードという所から縦長ジャケットで出されました。
このタイガーレコードが、いまだ研究の余地の有る所で、この一枚しか出していないと思われる、謎の会社なのです。
そんなポッと出の所が、何故いきなり、競争の激しいテレビまんが主題歌の正規音盤化権を獲得できたのか、今後の研究が待たれます。
なお、朝日ソノラマもカバー歌手による物ではありますが、パピイシリーズで発売しています。
ミクロイドS
週刊少年チャンピオンに手塚治虫が連載した漫画ですが、これもテレビ版はもっと内容が単純明朗なものとなっており、より小さい子供にも楽しめるように変更されています。
手塚は「ミクロイドZ」としていたのに、スポンサーがセイコーになったために「S」に替えられたという事ですが、当時毎週見ていたワタクシに、セイコーCMの記憶は全く有りません。
これは、CMの時間になると急いでTBSに回し、『8時だョ!全員集合』を見ていたためで、当時の子供達はそのように、土曜8時台はTBSとNETを入れ替えながら忙しく見ていたのでした。
音盤は、東映動画の作品ですのでコロムビアが、これは超縦長のSCS500番台で出し、ソノラマもパピイシリーズで出しています。
関東での放送では終了主題歌は無く、開始主題歌は途中で変更になりました。
新しい歌の方は、地方では最初から終了主題歌として使われていたようです。
ミラクル少女リミットちゃん
『バビル二世』でいきなり路線変更をして視聴者を戸惑わせたNETですが、再び月曜19時枠を少女主人公ものとしました。
今作は主人公のリミットちゃんが、瀕死の体から父の科学力でサイボーグとなって活躍するというものですが、普通の人間と違う体である事にリミットが悩むなどの要素も描かれています。
これも東映動画ですので、音盤はコロムビアから、超縦長のSCS500番台で出され、ソノラマがパピイシリーズで出すという、いつもの展開でした。