昭和唱和ショー「チョッキ」
ワタクシの場合、高校時代から記憶力が顕著に衰えを感じていたが、最近は真面目に悩んだら愕然とするくらいに覚えられない。勿論、諦めているから深刻には考えていないが。
その点、幼少時というのは、まさしく砂漠の砂がこぼした水を吸い込むように、覚えようとなど意識せずとも一度聞くだけでなんでも覚えられたものだ。
その代わり、その頃に覚えた事は、けっこう染み付いてしまったりする。
ワタクシの場合、幾つもの昭和語がワタクシの中での普通語であって、その典型例が「チョッキ」である。
少し前に会社での会話で何気なく「チョッキ」と言ったら、わずか5、6個下の奴が吹き出したので、アッと気がついた。今は「ベスト」としか言わないのだと。
ちなみに、30代の奴に聞いたらわからないと言いおった。
チョッキ知らないのか、チョッキ。これがチョッキじゃ。
これに関してはワタクシは「チョッキ」が染み付いていて、最初から「ベスト」と言う事は不可能に近い。
ワタクシよりやや上の女性にも聞いてみたが、今は絶対に「チョッキ」なんて言わないと言われてしまった。おら、どんだけウラシマっただ。
「チョッキは直接肌に着るから直着」なんて言ってる人もいるが、んなわきゃあない事は上図の通りである。今のベストとまったく同じで、表現の主流が替わっただけである。
でも、なんで替わったのかがよくわからないし、記憶に無い。
一応新聞で調べてみると、昭和30年代の中頃から「ベスト」とも言われている。
だが、それ以前は全て「チョッキ」で、その後も圧倒的に「チョッキ」。
記憶では、やはりバブルの前あたり、丸井あたりがオシャレ路線で売り出したあたりが転換期だったような気がするのだが。
とにかく昭和時代中に寿命を終えた言葉であるのは間違いなさそうだ。
*1:昭和27年12月18日付読売新聞