テレビ主題歌音盤史 ~子供向けドラマ編~(17)
無敵わんぱく
昭和41年8月から約一年間放送された『わんぱく砦』の続編です。
このTBS日曜18時枠は苦戦続きだったため、中で比較的ましだった『わんぱく砦』に縋ったのでしょう。
親無しっ子のわんぱく連中が徒党を組み、それぞれの持ち味を活かして大人たちの悪を懲らしめる時代劇です。
わんぱく連中の顔触れも基本的には前作を踏襲していますが、頭目的立場だった竜巻竜之助はいなくなり、代わりに伴刀左衛門が頭目となっています。
また、保積ペペも加わりました。
音盤は、大映レコードというレーベルでテイチクから発売され、朝日ソノラマからソノシートも出されました。
マイティジャック
『宇宙家族ロビンソン』『タイムトンネル』などのアメリカ製SFドラマが、内容も特撮も大人の鑑賞に堪えうるもので、日本での人気もそこそこ有った事で、日本でもそのようなドラマが出て来ないかという事は、この頃、話題にはなっていたようです。
『ウルトラQ』の際に『ミステリーゾーン』や『アウターリミッツ』等のアメリカドラマを目標としながら、結局は怪獣物に落ち着いてしまった円谷プロが、今度こそ大人の鑑賞に堪えるものをと、本格的な一時間SFドラマをフジテレビで実現させたものです。
ウルトラシリーズのTBSにも、フジテレビにも、円谷英二の子息が局員となっていました。
内容は、秘密組織Qと、海にも潜れ空も飛べる戦艦マイティ号を操る民間出資組織マイティジャックとの戦いを描いたものでした。
提供会社にも花王石鹸とサントリーという、本格ドラマを担うに相応しい大企業が揃い踏みし、時間帯もTBS『宇宙家族ロビンソン』が放送終了したばかりの土曜20時台と、万全の体制で立ち上がりました。
然し乍ら肝心の視聴率が低迷したために、結局わずか13回、1クールでの撤退を余儀無くされました。
冨田勲による開始主題曲は、1番、間奏(インスト)、2番が交互に使用されるという形でした。
音盤は、朝日ソノラマが通常ソノシートを2種類の他に、ウルトラブックスと呼ばれるNシリーズの計3種類を出し、レコードはコロムビア、テイチク、東芝が出しています。
戦え!マイティジャック
『マイティジャック』の不調により、当初の目論見であった大人の鑑賞に堪える1時間SFドラマ路線は頓挫し、直ちに30分ドラマの子供番組へと路線変更されました。
60分ドラマの主役に抜擢された二谷英明は、恐らく経費削減のために降板。副長役だった南廣が隊長役に昇格、主役となりました。
主題歌は『マイティジャック』の流用ですが、1番のみが使用されました。
曲自体は流用だった上、期待が高かった1時間版が不人気だった事も有ってでしょうが、『戦え!マイティジャック』としての音盤化に踏み切ったのは東芝だけでした。
黒い編笠
昭和40年に、この朝日放送制作TBS系日曜18時30分ダイハツ提供枠『バックナンバー333』で主役を演じた大瀬康一が、久々の当枠登板となりました。
この頃、かつてダイハツコメディ枠として『やりくりアパート』で日本中を湧かせた当枠の威光も衰えており、大瀬康一は、かつての当たり役だった隠密剣士の焼き直しのような話をやらされる事となります。
三代将軍家光の意向を受け、黒い編笠に身を隠して悪を斬る橘右近が、大瀬の役でした。
主題歌は、尾崎紀世彦も居たザ・ワンダースによる「孤独の夕陽」という歌で、大人向け時代劇アニメ『佐武と市捕物控』との組合せで、東芝レコードから音盤化されました。
そして放送開始から3ヶ月程した12月に、主演の大瀬が挿入歌を吹き込んだと報道されました。
それが大瀬の歌う”黒い編笠”という歌で、テイチクから発売されました。
大瀬は、かなりアガっていたと報じられましたが、その歌声は、確かに心許ない部分が有ります。
このジャケットには”主題歌”と記載されていますが、吹き込み当時は挿入歌だったのではないかと思われます。
尤も、当時はエンディング主題歌の事を”挿入歌”と呼んだりもしていましたし、そもそも”孤独の夕陽”の方も、オープニング主題歌なのかエンディング主題歌なのか、よく分かりません。
”孤独の夕陽”が当初の主題歌だった事は間違いが無いので、”黒い編笠”の方は、もし主題歌として使われたのだとすると、出演陣の一部が替わった昭和44年6月放送分から変更になったのではないかと推察しています。