無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

テレビ主題歌音盤史 ~子供向けドラマ編~(10)

新吾十番勝負

 川口松太郎による娯楽時代劇で、徳川吉宗の御落胤という葵新吾の活躍を描いたものです。大川橋蔵の映画版は続編が何本も作られた人気作でした。

 テレビ化も何度かされておりましたが、この時には映画版と同じ松田定次がメガホンを取り、『隠密剣士』で人気を馳せた大瀬康一・牧冬吉が脇を固めるという、非常に豪華な布陣となっています。

 そんな凄い顔触れの中で主演の葵新吾役を射止めたのは、これがテレビの連続物としては恐らく初の主演となる田村正和でした。

 

 全く再放送も無く、映像が現存するのかも怪しい作品でしたが、数々の貴重映像をYouTubeに公開している大村崑さんのご子息が、最終回のオープニングだけとはいえ公開してくれた事に拠り、色々な情報が確定しました。

 何より古映像ファンを喜ばせたのは、番組オープニング前の、ブラザーの企業オープニングです。

 この番組は、TBS月曜19時半からのブラザー劇場の一作でしたので、毎回ブラザーの枠オープニングから始まっていたのでした。

 

 主題歌は舟木一夫が歌いましたが、シングル発売はされなかったようです。

 4曲収録EP盤の中の一曲として収められましたが、その盤の題名は『舟木一夫の新吾十番勝負』となっています。

 

 

悪魔くん

 水木しげるの漫画が元となってはいますが、テレビ版は、よりわかり易い勧善懲悪ものとなっており、これは、すぐ後の『鬼太郎』でも踏襲されます。

 ファウスト博士から悪魔メフィストを呼び出す魔方陣を教わった、悪魔くんこと山田真吾少年が、メフィストを顎でこき使って妖怪退治に駆り出すというもので、妖怪ブームを先駆けた作品となりました。

 魔力の有るメフィストですが、悪魔くんが博士から譲り受けたソロモンの笛の音が苦手で、加えてチョコレートが大好きなため、その飴と鞭とで上手く使われてしまうのでした。

 

 オープニングは、いわゆる歌唱曲ではなく、呪文のようなものなので、放送当時の音盤収録はされませんでした。

 主題歌はエンディングで流され、おどろおどろしい映像を散々見せた後に、妙にノリの良い小気味良いコーラスだったので、却って印象に残ります。

 この主題歌と、劇中に気怠いコミカルな感じのカラオケが流されていた”なまけもの節”と、独自ドラマとの組合せで、朝日ソノラマからシートが独占発売されました。

 

 

快獣ブースカ

 TBS『ウルトラマン』の大当たりで勢いづく円谷プロが、日本テレビでコミカル特撮を志向したものです。

 主人公は一応、怪獣のブースカですが、間が抜けているので愉快な怪獣、快獣というわけです。

 本来は秋改編の10月5日放送開始予定でしたが、制作済みの本数が7本と少なかったため延期されて、中途半端な11月9日からの放送となりました。

 

 日本テレビはスポーツやバラエティが強い局だったので、アニメやヒーロー物などの子供向け作品は少なく、その方面の制作会社や音盤会社との関係も希薄だったからでしょうが、ソノラマもなかなか独占できず、フジやNETの子供番組であれほど音盤化に積極的だったコロムビアが絡む事も少なかったものです。

 このブースカでは、希望した全社が音盤化を実現できたと思われ、非常に多くの社が参入しています。

 

 レコードはテイチクの他に、ミュージカラーレコードという所が白い塗り絵式のジャケットという変わり種を出し、更に日本レコードという、あまり聞かない会社も発売しています。

 シートはお馴染み朝日ソノラマの他、コロムビア、ビクター、コダマプレス、勁文社、更にミュージックグラフは、よほど気に入ったと見えて5種類も発売したのでした。