無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

差別意識のあやふやさ

Gさん(仮名)「んー。なんか、アブなそうな表題ですねえ(苦笑)。なんで、こんな話題なんですか」

ごいんきょ「いいや、ただたまたま資料を見返していたら、ちょっと面白い事例を見つけたんでね。話の種に書いてみようかと」

 

G「と言いますか、今日は良い話の種が見つからなかったんですよね(苦笑)」

ご「ああ(笑)。幾つかやりたいのは有ったんだが、どれも仕込みに結構手間がかかってなあ。面倒なんで、ちゃちゃっと語れるのを探したんだ(笑)」

 

G「フリートークというのが、実は一番難しくて面倒ですよね」

ご「そう。むしろ方向性が決まっている方が、種は決めやすいね」

 

G「で、どんな面白い話なんですか。”面倒”っていう意味の面白さだったら嫌ですよ(苦笑)」

ご「解放同盟の話なんだがね(笑)」

 

G「………。知りませんぜ、旦那」

ご「いやー、たぶん事実なんだから大丈夫だろう。もし事実でないと関係者からご指摘戴けば表現を改めるので、問題ないんじゃないかな」

 

G「どんな話なんですか」

ご「11PMって番組は知ってるだろう?」

 

G「知ってるも何も、我々世代は北枕にして寝られないくらいお世話になったテレビ番組じゃないですか」

ご「どんな表現だよ。君はボケる役じゃないだろう(苦笑)。

  その11PMの昭和47年5月30日の放送で、東郷健が、『オカマにも人権を! 私たちを差別しないでほしい』と訴えたんだと」

 

G「凄い名前が出てきましたねえ(苦笑)。東郷健。昭和の関東人には懐かしくも複雑な名前です(笑)」

ご「ところがさ、その放送に、解放同盟が抗議したんだよ」*1

 

G「えーと、そういう訴えをした東郷健を、番組上で笑い者にしたとか、そういう事ですか?」

ご「そうじゃなくて、『差別という言葉を軽々しく使うな』って事らしい。オカマと部落を同じ言葉で語るなって事だろう」

 

G「えーっ。まあ、たしかに、あの頃は男の同性愛者なんて、どれだけ馬鹿にされても仕方無いって時代でしたがねえ。それにしても、差別問題の専門家たちが、そんな事を言っていた時代が有るんですかあ」

ご「ほら。当時は、解放同盟は一番イケイケの頃なわけよ。大抵の事をやってもお咎めを受けないどころか、超一流出版社や放送局の人間が泣きながら跪いたりし続けたわけだから。しかも銭にもなると」

 

G「それはそうなんでしょうけど、利権的な意味合いから言ったって、他の被差別者とも連携していた感じだったんじゃないですか?」

ご「だからさあ。当時、男の同性愛者は被差別者という認識では全く無かったわけ。実は、こういう事こそが差別の典型例なのかもしれないけれどもな」

 

G「しかし、自分たちが受けた差別は特別って事ですか」

ご「そうそう。”差別”という言葉には、部落解放同盟の重い歴史が有るって事なんだな」

 

G「なるほどねえ。たしかに歴史的にいろいろ有ったでしょうけど、それって男の同性愛者だって有ったんじゃないですかねえ。ただ暴力に訴えなかっただけで」

ご「そこら辺は、我々が軽い気持ちで語れる事でもないけれどな。ただ、わしが事実として面白いと思ったのは、”差別”意識というのは時代、場所で非常に大きく変わるという事なんだな」

 

G「時節柄で言えば、天皇を被差別者扱いする不届き者が一部に居ますね」

ご「大衆迎合できれば何を言ってもいいと考える不埒な連中だな。それこそ、昭和時代までなら、とても考えられんよ。

  そんな連中ほど、男系継承を”男女差別”という話に持って行く。女性が天皇になれないのは男女差別なんだと」

 

G「うーん。そういう人たちって、歌舞伎役者とか力士にもそういう運動をする気は有るんでしょうか」

ご「さあね。自分たちがやりたい事だけやれればいいって連中だろ。この話を本格的にすると、とても収まりきらなくなるからこの辺にするが(笑)、男女区別をする人間や世界を蔑視してるんだね、そいつらは。だから、そういう価値観の人間に対して、ありとあらゆる罵詈雑言をかましても屁とも思わない」

 

G「男は外で働き、女は家を守るとか、そういう”区別”ですね」

ご「ああ。昔はなあ、台所は女の戦場って事で、男が立ち入るのは憚られたもんなんだ。女性蔑視で料理をさせていたわけではない。対等な役割分担だったわけ」

 

G「しかし、女性の社会進出も進んでますしねえ。それにそもそも、経済的にそういう昔ながらの姿も難しいでしょう」

ご「ああ。だから巷では、そういう物言いが通じなくなった家が殆どだろう。だけどなあ、そういう物の考え方を全否定するのは、そういう考え方をする人間を差別してないか?

  実は、この意識構造こそが差別の源泉なんだな。東洋的な典侍(宮中女官)だって、西洋的視点で蔑視して迷いが無いんだ」

 

G「えーと、こんがらがってきました(苦笑)」

ご「とにかく、”差別”なんて事をいい気になって安っぽい武器で使っていると、しっぺ返しが待っているかもしれんって事だ。

  ちなみに、所謂女系継承が禁忌である本質は、いまだに男系派も女系派も語ってないな。なんでなんだろう?

  女系派が語らないのはわかる。だって、そうしたら男系派が増えるんだから(笑)。だから、”男女差別だ”なんて本質から外れた下らない次元で工作したがるんだな」

 

G「と言いながら、あなたもいつも、その”本質”に触れないですね(苦笑)」

ご「そりゃ遠慮してるんだよ。門前の小僧のわしなんかより、きちんと語るべき人々がいると思うから。なんで男系派まで語らないんだろうな?」

 

 

*1:『放送レポート』18・19合併号(放送レポート編集委員会