無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

漫画投句「涼宮ハルヒの憂鬱 就中 27~28話」

 Gさん(仮名)「さて、27話『射手座の日』ですが」

ごいんきょ「これは掛け値無しに凄かった。わしが生まれてから半世紀以上テレビまんがを見てきて、最高の出来だったと言えるな」

 

G「げっ。凄い褒め言葉ですね。何がそんなに凄かったでしょうか」

ご「これは簡単に言うと、コンピューター研究会にゲームでの宇宙戦争を持ちかけられる話なんだけど、登場人物がゲームに没頭している時の描写と、現実でのやり取りと、演出を変えているのね」

 

G「はあはあ。ゲーム上での描写は、そのまま宇宙戦争のような画面ですね」

ご「しかも、現実空間ではBGMが昔ながらのピコピコ音で流れたりと、色々と芸が細かくて面白いんだ」

 

G「はいはい。細かく場面描写してますね」

ご「そういう表現の新しさは勿論凄いのだが、テンポも全く淀みが無いし、放送時間中にダレる部分が全く無く、完璧に放送時間を使い切っているのね。この一本だけで一つのエンタメとしても立派な出来なわけ」

 

G「殆ど最大級の賛辞ですね」

ご「特に唸ったのが、ガンダムのパロディで、『行きま~す!』とか言うんだけど、画面が全部モザイクでな。でも、こういう漫画を見る人間ならみんなわかるわけ(笑)」

 

G「紙の漫画だと珍しくない表現ですけど、テレビまんがではなかなか有り得なかった表現ですね」

ご「そうそう。決して新しいパロディの切り口ではないけれど、所謂ベタな表現としてやっている。しかも、テレビまんがとしては多分、初めてのものなんだな」

 

G「27話はエンタメ的な面白さとして最高だったと。28話、放送最終話はどうでしょう」

ご「これは今までとは打って変わって、とても静かな作品なの。その対比が演出として生きているんだな。それも最終回なわけだから、思い入れが有る人間は、余計に余韻を感じたと思うよ」

 

G「最後の場面のハルヒが可愛かったですね」

ご「そう。なんとなく、ハルヒも普通の人間として生きていけるんじゃないかなと思わせていくんだね、最後の25~28話で」

 

G「作り手側がどこまで意識していたかわかりませんが、人間成長譚になってますよね」

ご「ああ。だからヲタク向けアニメのようで、そこだけにとどまらないものもきちんと有る。

  わし独自の見解としては、”ライブアライブ”が最終回でも良かった気がする。人の役に立つという事に目覚めたハルヒが、人間としての根本に目覚めつつあるという余韻を持たせて終わるからね」

 

G「これ、最終回にしてもおかしくない話が幾つか有りますね。初回放送時には、あの異人の暴走をキョンがいかにもな手で止める話だったようですが」

ご「あれでは、ただのヲタク向けライトノベル。実際、原作の第一弾はそんな感じだったんじゃないの? まったく知らないけれど。ま、そういうのを否定するわけではなくて、若者向けにはああいう単純な展開もいいんだろうけど、あれでは、わしは全く意に介さなかったね。

 ただの独りよがりな万能感に溢れたハルヒという人間が実際に万能だというのは、ヲタクを意識して迎合した設定になっているのよ。ところが、初めて人の役に立った喜びというものを認識できず、自分の感情に戸惑うハルヒというのが、とても良いんだ」

 

G「おっさん視点では、という事ですね」

ご「ああ。人生の酸いも辛いも知り尽くした人間としては、人間というものは、究極、人のために生きているのだといつか理解できなければならないというのが有るからね。そこを描いているし、それがヲタクへの隠されたメッセージにもなっている。原作者も含めて作り手たちが意識していたかどうかも怪しいんだけれど。

  だから”ライブアライブ”も作画だけでなく素晴らしかったし、あれを最終回に持ってきても良かったなと思うんだ。ハルヒが神ではなく、人として目覚めたという余韻でね」

 

ご「無根拠な万能感に支配されている独りよがりなヲタクも、人として目覚めよって捉え方もできるって事ですか。作り手の誰かにそういう視点も有ったのかもしれませんが、であれば、なお凄いですね。

  ところで、”酸いも甘いも”って言いますよね、正しくは(苦笑)」

麻雀回顧「岸田今日子」

第61回 阪急杯

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  いやー、今日のはどちらも難しすぎ。それも、特に難しい方を選んでしまった。

 GIIIは難しいなあ。同僚なんて、勝ち分の4万を一気に複勝にぶち込んでやられてしまった。

 あれだけ突出した人気だった3頭が、みんな4着以下なんて出来過ぎだろ。出来レースじゃないのか(負けた誰もが思う事)。

 

 

麻雀回顧「岸田今日子

Gさん(仮名)「岸田今日子さんの牌譜が残ってるんですか」

ごいんきょ「結構な女雀豪だったんだよ。週刊ポストの麻雀でも、見事に五週勝ち抜きしたというんだから」

 

G「へー。で、どんな麻雀だったんでしょうかね」

ご「女性にしては固い打ち方だったようだな。矢崎泰久ばばこういち大西信行と打った時の牌譜が有るんだが」

 

G「いつもの面子って感じですねえ、矢崎さんの(笑)」

ご「なんでも、矢崎がその連載『雀狂放談』を始める時に編集部に出した条件が、岸田今日子を出してくれって事だったらしいんだけど。で、連載開始から三年経って、ようやく実現した対局だったんだな」

 

G「結果はどうだったんですか」

ご「結果は、ノー和了。でも、ノー放銃」

 

G「ふーん。牌勢が動いてなかったんですねえ」

ご「しかし見せ場は作っていたぞ。特にわしが感心したのは、ばばこういちが3巡目に6ソと東のシャンポン待ちでリーチをかけた時、岸田今日子は索子の一色手に行って、ホンイツ一向聴まで漕ぎ着けたんだよ。

  で、東を切ればチンイツって手だったんだけど、『切れない牌が有るもんね』と言って降りたんだ」

 

G「ほぉ~。それは凄い。きちんと牌の搾りが出来ただけではなくて、手に溺れない冷静さも有ったという事ですね。手に溺れる人が多い女性雀士の中では、確かに傑出した技量だったのかもしれません」

ご「ま、多くの対局を見たわけではないから本当の実力はわからないけれども、上級者だった事は確実だな」

 

G「ノー放銃だったのも、たまたまって事ではなかったんですね」

挿しす世相史「ときわ丸沈没事故」

 昭和38年2月26日(火)午前1時7分頃、神戸港外の苅藻南約3キロの海上で、定期貨客船ときわ丸が大型貨物船りっちもんど丸と衝突するという海難事故が発生しました。

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  発生時間が深夜だったため、熟睡中のまま船と共に沈んだ人が多かったと思われ、66人の乗組員中、助かったのは19人、47人が死亡するという惨事となりました。

 原因としては、ときわ丸側の操船ミスではないかと見られています。また、見張りとしては、双方に落ち度があったのではないかという事です。

 

 YouTubeに、映像での報道も有りました。

 

*1:昭和38年2月26日付読売新聞夕刊

恥痴呆談「北朝鮮大使館員が暗殺に関与か」

金正男暗殺に大使館員が関与か

Gさん(仮名)「正男さんの暗殺事件ですが、なんと、北朝鮮の大使館員が直接関与していたという話ですよ」

 ごいんきょ「『なんと』って? 北ならべつに不思議は無いだろう(笑)。そもそも大使館員なんて、その国のスパイ活動者だっていうのは世界的な常識だろ」

 

G「変な常識を振りまかないで下さい(苦笑)。でも、常識かどうかはともかく、特に敵対的な国同士の場合は、そういう役割も有りそうですね」

ご「ああ。だからマレーシアとしては面子丸つぶれで、国交を断とうかという話も出ていると言うが、当然だわな。人類普遍の価値観を共有できない国なんだから、テロ集団と認識すべき地域なんだよ、あそこは」

 

G「ところで、この事件と中国はどう向き合うのかという話で、面白い記事が有りましたよ」 

 ご「なるほどな。全体的に、なかなか納得できる話が並んでると思う。張成沢の処刑が全ての鍵を握っていた案件だったのだろうというのはわかる。もっと前の話をすれば、習近平政権となった事が、もしかしたら関係しているのかもしれない」

 

G「なんか、張成沢というのは親中派で、しかも江沢民ツーカーだったという話ですね」

ご「だから張成沢が処刑された時に、中国と通じていたから粛正されたのではないかという話が出たな。しかも、正男の後見的役割もしていた。その2点で睨まれてしまったのかもしれないな」

 

G「もし江沢民に絶大な力が有ったら、張成沢の処刑はできたでしょうか?」

ご「なんとも言えないなあ。だって、金正恩って丸丸っぽいもの(笑)。丸丸を正常な思考回路で判断しようとしても無駄だから」

 

G「丸丸って、放送禁止用語ね。わかりづらいから多用するのやめましょうよ(苦笑)」

ご「ま、一般論で言えば、当然処刑は、ためらわれたとこだろう。だから習近平政権となった事が大きかったのかなと言ったんだ」

 

G「習近平になったから張成沢も遠慮なく処刑できたし、ひいては金正男も処断できたって事ですかね。でも、習近平と近いってわけでもないんですよね、金正恩は」

ご「ああ。いまだに会談してないって話だし、同盟関係の中国と北朝鮮の仲では、かなり異例らしい。中朝関係が微妙な空気というのは、動かないようだな」

 

G「結局、北の軍事独走には中国上層部の誰でも不快感を持っているという事ですね」

ご「そらそうだろうよ。日本とアメリカの関係に置き換えれば、すぐに解るだろう(笑)。尤も、トランプ政権になったら核を持たせてくれるかもなんて夢想していた人々にはわからないか」

 

G「しかし、今週のフライデーでは、正男さんの入れ墨が無いとかで、影武者だったのではないかとか言われてますよ」

ご「うーん…、もちろん影武者の可能性も有るだろうし、逆に、刺青の有った方が影武者だった可能性も有るしな。その辺は我々には計り知れないところだ。ただ、ひと一人が政治的な理由で公然と殺された事は間違いないんだから」

 

G「その死因ですが、矢張りVXガスだったようです」

ご「顔に液体をかけられたって話で、既にVXと思ってたけど。ガスって言うから気体と思っている人も多いだろうけど、殆んど液体だから」

 

G(漫画の喧嘩稼業で覚えた知識を偉そうに……)

 「しかし、大使館員は、どうして聴取されないんでしょう」

ご「治外法権不逮捕特権の問題だろうな。あのコロンボだって、通常の方法では逮捕出来なかったんだから」

 

G(今度はテレビドラマで覚えた知識か……底の浅い奴……)

 

 

 小金井ストーカー事件意見陳述 

G「小金井で地下アイドルの子が滅多刺しにされた事件は、本当に痛ましい事件でしたが」

 ご「これなあ。意見陳述って、なんなのかね? 被害者の感情なんて、わざわざ開陳させなくたって推し量れるだろう」

 

G「いや、例えば『許します』っていう事だって有るじゃないですか。被害者の意向も判決に盛り込ませたいわけでしょ」

ご「そういう場合はいいとして、今回のような場合、わざわざ意見開陳する必要無いじゃない。加害者側に要らぬ憎悪感情を呼び起こさないか? これ、殺人事件じゃないから絶対に死刑にはならないわけで、いつかは必ず世に出てくるんだぞ。あまりに無防備というか、最悪を想定しなさ過ぎじゃないか、日本の司法は」

 

G「確かに、”臨機応変”っていう事が有っても良いとは思いますけどね。役人には有り得ない発想なんですよね、それって(苦笑)」

ご「裁判員制度ってのは、世間知らずの司法関係者には無い視点を取り入れようという発想だったんだろうけど、それって判決の時だけでではなくてさ、取り調べとか、議事進行とかの部分でも取り入れた方がいいんじゃないか?」

 

G「たしかに加害者の反応を見るに、藪をつついてしまった感も有りますねえ」

ご「こういう事件の場合、被害者側の感情は推し量れるわけだから、そんなものは、いちいち陳述させる必要は無いと思うよ。裁判官と、裁判員だけが極秘資料として見る事が出来るようすべきだよ」

 

G「そもそも警察とかの捜査時点だって、いちいち誰それから何々の申し入れが有ったとか言って、憎悪感情を増幅させてしまったって例がありますね」

ご「世間知らずって言うか、究極、おこなんだな」

 

G「”おこ”? 怒ってるって事ですか?」

ご「不思議に思ったら辞書を引く習慣を身に付けたまえ(笑)。とにかく役人なんてのは世間知らずの”おこ”なわけ。『お前、アイツがお前の事”キモイ”って言ってたぞ』って伝えたら、そりゃその”キモイ”って言った奴は殴り込まれるよ(笑)。

  判決の時だけでなく、全体を通しての流れで、もっと様々な視点を取り入れる工夫が必要だとわしは思うし、今回の事に限って言えば、非常に被害者の危険性を増すような真似をさせていると危惧するよ」

 

 

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(54)

月光仮面

 昭和33年というテレビの黎明期に放送開始して、大瀬康一主演で文字通り一世を風靡した白黒テレビ映画の名作をカラーテレビまんが化したものです。

 月光仮面の武器が拳銃から鞭になったりという変更点は有りましたが、最初のうちは白黒時代の筋を踏襲していました。しかし、マンモスコング編で子供のコングが出てくる辺りからカラー独自の作劇となり出し、最後はドラゴンの牙という、完全に独自の悪役編となりました。

 

 提供会社の一つだったカバヤは、元祖月光仮面のすぐ後に原作者の川内康範が局を替えて作った『七色仮面』『アラーの使者』というテレビ映画を一社提供していた会社で、その頃の繋がりからだと思われます。

 往時は、提供会社との関係もこのような密な例は珍しくなく、少し前にここで扱った『決断』というテレビまんがでも、サッポロビール竜の子プロの局を跨いだ繋がりが有りました。

 

 主題歌は、正副主題歌とも歌詞は元祖白黒版と同じものが使われましたが、曲は三沢郷が現代風に作り替えたものが使用されました。

 音盤は、元祖の時と同じく、キングレコードが手掛けました。白黒当時、テレビ番組、それも子供番組の主題歌をレコード化するという事は殆ど例が無かったどころか、むしろ逆風が有った事は以前に書きましたが、それでもキングの長田暁二が手掛けたところ大ヒットとなったものでした。川内康範ですから、その時の繋がりは重視したものでしょう。

 

 キングレコードはボニージャックス歌唱の通常主題歌の他、サタンの爪やマンモスコングの独自の歌も音盤化しました。

 また、朝日ソノラマソノシート化し、またソノラマレコードとしても発売しました。また、ウルトラブックス・Nシリーズと呼ばれるシート付きの画報ものも出されています。

 更に、何故かビクターも三ツ木清隆によるカバー盤を出しました。三ツ木は『光速エスパー』『白獅子仮面』などで活躍した役者ですが、この辺りから歌手としての活動も増えていきます。

 

 

海のトリトン

 手塚治虫の『青いトリトン』を、稀代の問題児かつ天才プロデューサーだった西崎義展が手掛けてテレビ化したものです。富野喜幸(由悠季)が注目される切っ掛けとなった作品でもあります。

 放送開始当初は、単に”海のトリトン”という題名から作られたとしか思えない、詞も曲も非常に牧歌的な開始主題歌が使われていました。

 歌っていたのは須藤リカで、コーラスを『神田川』ヒット前の南こうせつかぐや姫が担当しており、共に主題歌画面で実写登場するという、まんがに限らずテレビ主題歌史上でも非常に珍しい演出になっていました。

 

 話が進むうち、それまで終了主題歌として使われていた、今ではよく知られるヒデ夕木による歌唱のものが開始主題歌となり、入れ替わりに須藤リカ歌唱の方が終了主題歌となりました。

 音盤としては、須藤リカのものがクラウンから、ヒデ夕木のものがコロムビアからそれぞれ発売され、他にソノラマからコロムビア音源の方が、パピイシリーズとしてパンチシートが発売されました。

 日本クラウンがテレビまんが主題歌に関わってくるのは非常に久しぶりですが、須藤リカやかぐや姫が起用された点も含め、どのような経緯によるものかは謎です。

 

 

魔法使いチャッピー

 『魔法使いサリー』『ひみつのアッコちゃん』という名作を生み出したNET月曜19時枠でしたが、少し停滞してきたのを、元の路線に戻しつつ、また低年齢層を対象に戻したという作品と言えます。

 しかし、これも結果的には今一つだったと言って良いでしょう。

 音盤としては、お馴染みの日本コロムビア朝日ソノラマという顔触れで、ソノラマはパピイシリーズで出しています。

 

 また、この時期は万創が”とびだすえほん”を引っ提げて次から次とテレビと連携して商品を出しており、そうした商品の中には、主題歌とドラマを収録したシートを付けた展開も有りました。

 これに対抗した商品が他社からも色々と出されているのですが、背景には、従来の路線で行き詰まり始めたシートという音盤形態が、絵本を軸とした出版展開での生き残りを模索したという事情が有るのでしょう。

 朝日ソノラマがEMで始まる番号のシート付き絵本を商品配列に加えるようになるのも、こうした流れに有るわけです。

 ちなみに、万創はじめ他社絵本のシート製作を引き受けていたのも、朝日ソノラマが多かったのでした。

 

 『チャッピー』も万創がシート付き絵本を出しており、当時の万創は片端から提供に加わっていたので、この番組の提供もしていた可能性が高いです。

 また、この少し前からは紙芝居というものも数多く発売されだし、これにも主題歌収録の有無は有りますが、シートが付属したものが増えていました。それは大体昭和45年からで、正にソノシートの売り上げが停滞し始めた時期と言えるでしょう。

 この昭和47年をもって音盤商品としては姿を消していく事となるシートでしたが、形態を変えながら昭和時代を全うする事となります。

 勿論、紙芝居付属のシートでも、ソノラマが圧倒して引き受けていたものです。

昭和唱和ショー「ズルチン、チクロ」

Gさん(仮名)「今回は、我々が子供の頃に悪名を馳せた”チクロ”を扱おうと思うのですが」

ごいんきょ「チクロというのは人工甘味料だな。その前に、ズルチンとかサッカリンというのも問題になっている。当時、日本で使われていた人工甘味料は、その3種だったようだな」

 

G「サッカリンは知ってますが、ズルチンというのは聞いた気もしますけど、あまり印象に残ってませんね」

ご「ズルチンは一番危険性を判断されたのか、真っ先に昭和44年の始めから使用禁止が決まったからかもな。ズルチンの危険性は、昭和37年には指摘され始めていたから。なにしろ戦前は”劇薬物”扱いだったらしいからな」

 

G「うへえ。なんで、そんな物が使われていたんですか」

ご「そりゃ戦後の貧しさで、安価な甘味料として見直されたからだよ。砂糖1キロで100円以上の昭和40年代初頭、チクロ8円、ズルチン3円20銭、サッカリンに至っては1円50銭で済んだと言うんだから」

 

G「じゃあ、その頃の甘味というのは、殆どが人工甘味料だったんじゃないですか?」

ご「おそらくな。ただ、その頃までは”人工”と表示しなくても良かったんだ。”人工甘味料”と表示すると、警戒する人が出てくるからな」

 

G「しかし、戦前は”劇薬物”扱いだったものを警戒させないように売ってしまえって、今にまで続く日本の食品表示の杜撰さですよねえ」

ご「ズルチンが”劇薬物”扱いだったというのは、元々がドイツで解熱剤の開発中に発見されたものだから。だからか、食品に使用されていたのはドイツと日本だけだったらしいが。

  構造が解熱剤に近いから、中枢を麻痺させる作用が有るらしいな。だから大量に摂取すると、実際に身体に悪影響が有る。昭和38年4月に、岩手の農村で幼児二人が自宅に有ったズルチンを舐めてしまい、死亡したという事故が有ったんだ」

 

G「それでも使用禁止が決まったのは昭和44年ですか!?」

ご「あまりにも多く商業的に使われていたから、経済的な影響を懸念されたんだろう。その年の秋には、チクロも全面禁止になったんだが、実際、昭和44・5年の食品業界は天手古舞いで、人工甘味料をやめるために値上げせざるを得なくなったり、倒産した会社も出て来たんだな」

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G「”天手古舞い”ってのも昭和語ですかね(笑)」

ご「いつか扱おうか(笑)。

  で、政府として業界に迎合して、新たな使用は禁止するが、既に有る商品の回収には猶予を認めたんだな」

 

G「うーん。これは毒性が有りますと認めておいて、でも毒を暫く売っていいよってやってたわけですか」

ご「とにかく日本は業者に甘いから。だからだろうけど、わしら子供の頃に駄菓子屋に行って、いま考えるとワケの解らないお菓子をしゃぶりながら、『これチクロが入ってるんじゃない?』なんて言ってたもんだよ」

 

G「”駄菓子屋”ってのも、ここで扱えますね(笑)。

  そうそう。なんか異常に毒々しい色をした、チューチュー吸うドロッとした”何か”とか有りましたよね(笑)」

ご「なんというお菓子なのかはわからないんだ(笑)。正に、”ドロッとした何か”(笑)。あと、スプーンですくって食べる、小さなヨーグルトっぽい容器に入った”何か”も有ったな」

 

G「たしかに、ああした”何か”の味って、ちょっと独特でしたよね。なんで大して美味しくないどころか、むしろ変な味だったのに、あんな物にお金を出してたんでしょう」

ご「いま思うと理不尽な感じもするが、要するに”買い食い”そのものが娯楽だったんだよな。当時は娯楽そのものが少ないし。で、小使いも少ないから、必然、安い物を買ってしまうわけよ」

 

G「口の中が異様に真っ赤になったり、子供ながらにこんな物を食べて大丈夫なのかなって感じは有りましたがね(笑)」

 

 

*1:昭和44年10月24日付読売新聞

空耳ジンギスカンの歌詞を修整してみた

 

先ずは原曲を

 何年か前に空耳ジンギスカンというのを作ったのだが、久しぶりに調べてみたら、その後にも何本か上がっていたりしたので、また作り直してみようかなという気になったのだった。

 それにしても、同じ歌を聞いているのに、様々な聞こえ方が有るものだ。

 先ずは先入観無しで、原曲「ジンギスカン」を聴いてみて欲しい。貴方は、どんな言葉に聞こえるだろうか。

 

 今から40年近く前に曲名と同じ名前のジンギスカンというドイツのグループが歌ったヒット曲なのだが、日本でも結構なヒットとなった。

  街中でこの歌を聞いた時にワタクシが不思議で仕方なかったのは、「ひーらいたひーらいた」って言ってるな。ここは日本語を使ってるのか?という事だった。

 更に進んで部分の歌詞で、「パンツ見えた、そう見えた」と聞こえる部分が有って、これはそう聞こえるだけだとわかったが、そんな訳で、聞く度に小首を傾げる歌だったのだ。

 

 

空耳動画「もすかう」との出会い

  そして時代は移り、2012年になって、有名な「もすかう」の動画をたまたま見て面白がる。かなり遅いデビューと言えよう。

 元歌の「めざせモスクワ」も、ジンギスカンのヒット曲で、やはり日本でもけっこう流行った。

 

そして空耳ジンギスカン(初代)の作成

 面白がると同時に、思ったのだ。

 ジンギスカンと言えばその名と同じ「ジンギスカン」だろー、あれって「ひーらいたひーらいた」って聞こえたんだよな、あれも全編を空耳を作れるんじゃないか?と。

 少しやってみたら出来そうだったので、次に検索してみたら、誰もやってなさそうな感じでもあり、よし、やろうと。

 で、できたのが、こんなものだった。 

 

 正直、苦しい部分も有るが、「もすこう」でもそういう部分は有るから、まあいいかと、あまり深く考えずにパッパと作った。

 シックスティフォーティーの部分は、そうとしか聞こえないので、原詞もそうなっているのかと確認したら、まったく違う独語なので驚いた。正に空耳!

 

 

自分より先んじて発表していた人

 で、歌詞はわりと簡単に出来て、動画を作ろうかなとYouTubeで検索してみたら、先客が居て驚いた。それもアゲている時期を見たら、ほんの一ヶ月くらい前じゃないか。

 こんな偶然あるか!? ジンギスカンなんて「もすこう」より古い歌なのに、多分、それまで誰も空耳を作ろうとしていなかったのであろうに、「もすこう」が流行ってからも幾星霜、ワタクシがジンギスカンで空耳作ろうと思い立った、そのたった一ヶ月前に別の人間が思い立つなんて。

 

 ちょっとだけ逡巡。

 真似したと思われたら嫌だなーとか、邪魔してんのかと思われたら嫌だなーとか、あれこれ考えたが、先様の内容の殆ど全てといっていいくらい自分と違っていたので、まあいいだろうと。

 俺のが先に手を付けた事は絶対に間違い無いんだから堂々としようと。なにしろ、歌が初めて日本で流行っていた当時に手を付けてたんだからな(笑)。

 その、ほんの少し前にアゲられていたのがこれである。

 

 

 

続々と作られていた空耳ジンギスカン

 で、最近また検索し直してみて、新たな作品が出ていて、ちょっと見てみた。

 

 

いろんな空耳を引っくるめちゃった人も

 この他にも、途中までだけのやつも二人くらいがやっていて、本当に同じ歌からいろんな音に聞こえるんだなあと感慨を新たにした。

 でも、「雲梯リフティング」は大体の人がそう書いている。と言うか、実際に「雲梯リフティング」って言ってるしね(笑)。

 そして、それら内容を混ぜて、より完成型に近づけている人も。

 

 

新歌詞とコンテを作ろうと思い立つ

 自分のもけっこう使われていて、ああ無視されないで良かったなと(笑)。一人だけ空気扱いされたら、苛めだよね(笑)。最初に流した時から、誰か腕の有る人が「もすこう」みたいにしてくれたらいいなと、ちょっと虫の良い事も頭を掠めないではなかったので、この動画は特に嬉しかった。

 でも同時に、自信が有った部分とか、本当はここはこう演出すればもっと面白く出来るのになと思う部分も有って、やはり自分でやり直すしか無いかなと考えるように。

 

 でも、学生時代とかの時間捻出に苦労しない時分ならともかく、今やこういう良くも悪くも無駄な事に、そうそうは時間を使えない。

 って言いながら、充分に無駄な動画を既に流しているのだが(笑)。

 とにかく、今のワタクシに作り込んだ動画は作れないので、コンテだけでも発表しておこうかなと。で、誰か技量の有る人が作ってくれたら楽だなと夢想しつつ(笑)、自分でもいつか制作に手を付けてみようと、そのための準備としてもコンテを書いてみようと思い立ったのだ。

 

 先ずは、歌詞の内容をもう少し煮詰めようと。

 最初のは、途中の苦しい部分から逃げているし、もうちょっとだけ進歩させたものにして、その新歌詞を元にして更にコンテも作ろうと思い立った。

 元々、ライダーとかラフィンとかは、おそらく原詞もそういう言葉(それに当たる独語)を使っていると思うのでワタクシは排除していたのだが、「ステッピン」を今回確認したら原語もそういう歌詞だったので、この言葉も削る事に。

 

 そうして出来た新歌詞が以下のものです。一番上で紹介したプレーン動画を見ながら、歌詞を準えてご覧下さい。

 

 

新「空耳ジンギスカン」歌詞 

新・空耳ジンギスカン

ジ・エッチなムービー 婆ちゃん姐ちゃん

「棄てっ!」って言いそうじゃない

 

抑えながらランダムそーやって並び

ジンギスカン

 

ジ・ウーパー入(い)れペテン いいハイサイ姐ちゃん

痔痛が痛い借金 イギリスさん

撃てーなリッツのどんな道を~

(Who? Her!)

 

チン チン チンギスカン

ひーらいた ホーラ居た ひーらいた いま入った

チン チン チンギスカン

おお来りゃ ソープ屋 おお来りゃ いま見りゃ

 

ラスト豚 放るん? (オホホホー)

手で信号 放るん? (アハハハー)

雲梯 取り手 リッツ知ってる~?

 

チン チン チンギスカン

ひーらいた ホーラ痛 ひーらいた いま入った

 

チン チン チンギスカン

ヘイ、MENだ! 放免だ パンツ見えた そう見えた

 

雄叫びだっふん オホホホー

いま開いただっふん アハハハー

雲梯リフティング 食う気ないです~

 

 

ゴジラ座るか審議 火出す

鞣(なめ)す 火 引ん裂いて 

 

シックスティフォーティ

縁日キープ ザ・ガバス

ウィ OKベイブ

 

偽って死んだ近代 位牌の穴

五十六歳のファンで ア背伸びらー

野菜のトラップ 答えな皆(みな)死~

(Who? Her!)

 

チン チン チンギスカン

ひーらいた ホーラいた ひーらいた いま入った

 

チン チン チンギスカン

オー来りゃ ソープ屋 オー来りゃ いま見りゃ

 

ラスト 豚 放るん? (オホホホー)

長嶋放るん? (アハハハー)

雲梯 取り手 リッツ知ってる~?

 

チン チン チンギスカン

ひーらいた ホーラ痛 ひーらいた いま入った

 

チン チン チンギスカン

ヘイ、MENだ! 放免だ パンツ見えた そう見えた

 

雄叫びだっふん! オホホホー

いま開いただっふん アハハハー

雲梯リフティング 食う気無いです~

 

 

コンテのための一部語句解説

 かなり長くなってしまったので、コンテはまたの機会に(苦笑)。

 と言うか、今回、なるべく通じやすい言葉で通したつもりなので、わりとすんなり突飛な映像が浮かぶかと思うのだけれど。

 

 一部の言葉だけ解説すると、「ウーパー」というのはウーパールーパーのつもり。福田赳夫首相時代に注目を浴びた変な生き物。お金じゃなくてウーパールーパー入れるなんてペテンだろうと(笑)。

 でも、「ハイサイねえちゃん」通じた人がいたのは嬉しかったな(笑)。若手には通じづらいだろうけど、”ハイサイおじさん”ってヒット曲が昔あったのよ。

 

 「リフティング」は、ワタクシはウエイトリフティングの絵を想像してたのね。ま、サッカーのリフティングでも勿論いいんだけど。

 せっせと何回も雲梯やバーベル上げ下げして、へたばっている人が、呼吸が苦しくて「空気無い」と言ってるつもりで作ったんだけど、そこまでは通じないわな、絵にしないと(笑)。

 て事で、もっとわかり易く食欲が無いって意味にしてみた。

 

 「ゴジラ座るか審議」の部分は、「長嶋放るん?」と並んで一番、絵にしたかった部分。ゴジラをなだめるお歴々が、審議に加わってくれるか相談している図。でも、やっぱりゴジラだから荒ぶって、火を出すという(笑)。更に引き裂いちゃうし(笑)。

 

 「ガバス」というのは架空通貨の単位で、雑誌のファミ通とかで使われていた言葉。その昔からコンピューターをいじっていた人々(ヲタク系)にはわりと有名な単語。

 ガバス持ちのヲタクが、40万ガバスとか60万ガバスとかガバスに飽かせて縁日キープしちゃったんだね。で、「ウィ」と何故かフランス語で承諾されたと。その後「OK」と言い直してるけど(笑)。

 

 長嶋ってのは、もちろん長嶋茂雄ね。「バーバリースーツ、よろしくしなくていいよ」って呟きながら放られている絵を想像して下さい(笑)。時を経て時事ネタになった。

 

 ま、ワタクシの出すものは、昭和の風俗に通じてないと完全には楽しめないものばかりで、若者には高い障壁が有るのが難だな(苦笑)。

 

 

まとめ

 いつか、この新歌詞でも動画を作ろうと思う。その際は、今度はきちんと歌詞に沿った動画にしたいと思っているのだが……。

 全編日本語になっているので、かなり覚えやすいと思う。この歌詞で、発音・発声を欧州言語っぽく歌うと、 ちょっと聞きには原語で歌ってるっぽく聞こえるかも。是非カラオケでお試し下さい。

 

 万一、日本語で歌っている事に気付かれたら……

 それも笑いに繋がるだろうから、良いではないですか。

 

 しかし、出来上がってから改めて吟味したら、風俗ネタで動画作ると、かなり通したネタに出来るな……。

 勇者は現れるか。

 はたまた自分で勇者の名乗りを挙げようか………