無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

麻雀回顧「阿佐田哲也(1)」

ラジオNIKKEI賞

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 1番で決まりっていうのは有ったけどねえ。

 あと、15番も注目していたのだが。

 ダイワドレッサーはわからんわ。

 

麻雀回顧「阿佐田哲也(1)」

 週刊文春だったか、伊集院静のやたら高飛車な読後感の悪い連載で(笑)、阿佐田哲也の事に少しだけ触れていた。

 大部分は、長年の連載を終えて本当の「遺言」を残した大橋巨泉の話で、11PMによって阿佐田哲也の姿を一般人も知ったろうみたいな話である。

 確かにそれはそうで、ワタクシも動く阿佐田哲也を初めて見たのは11PMだったはずだ。相手は福地泡介畑正憲、古川凱章だったかと思う。

 シチューション麻雀という、同じ順番で牌を並べて、初心者と上級者で試合運びがどう変わるかを実験するものだった。

 畑ムツゴロウ先生の雀豪ぶりには既に触れたが、福地泡介も劣らぬ雀豪だった。いつかは彼も扱うだろう。

 

 そこでは阿佐田哲也はもちろん眠ってなどいなかった(笑)。

 それどころか、リーチ後に当たり牌を引いた時に、切るのを逡巡するような演出までやっていた。

 当然、お互いの牌は見えていないから、それが当たりだろうという読みを視聴者に伝えたのである。

 ワタクシが見始めてからは、11はあまり麻雀を扱わなくなり、その対戦が終わったら無くなってしまったかと思う。

 だからワタクシは、小島武夫の対局場面を地上波では見た事が無い。というか、昭和時代に地上波での麻雀に関するテレビは、その11PMくらいしか見た記憶が無い。

 

 ワタクシが見ていない子供の頃はもう少し麻雀がテレビでも扱われていて、『独占!男の時間』では五味康祐センセーや三遊亭円楽(先代)が師範を務めたりしていた。

 あと、近代麻雀で記事を読んでいたのに見逃してしまったのが、たしか『トゥナイト』で、畑正憲参加当時の最高位戦の模様を放送したらしいのである。これを見逃した事はいまだに痛恨の一事である。

 このどちらにも阿佐田哲也は出ていないし、雑誌では活躍していたが、阿佐田哲也という打ち手は、テレビにはあまり出ていなかった。

 

 ところで、ワタクシには非常に珍しい形での阿佐田哲也出演場面の記憶が有る。

 それは件の『トゥナイト』で、前述の時とはまた別の放送なのだが、その前後関係はよく覚えていない。

 ただ、畑が参加した最高位戦は最悪の形で幕を閉じ、それ以来、阿佐田哲也も麻雀界から遠くなったのだから、やはりワタクシの記憶の方が先の話だと思う。

 

 今でこそ麻雀のパソコンソフトは珍しくないし、きちんとしたものが殆どだろう。

 だが、8ビットパソコンの頃、まだ漢字も使えないほど性能が貧弱で、故に麻雀のソフトもかなりいい加減だった。

 牌の表示は「1ソ」「2●」「3マ」なんていうのが縦に並んでいたと思って欲しい。

 表示はまだ我慢できたが、ワタクシが許せなかったのが思考ルーチンと呼ばれるものだ。要するに、コンピューター側がいかに打牌を決めるかという思考方法である。

 

 これが、当時は最悪で、ほぼ全ての麻雀で、コンピューターは手作りなんかしていなかった。

 最初から適当な聴牌や1,2手前を与えられていて、頃合いを見てリーチしたりするという、言ってみればイカサマやり放題のものばかりだった。

 これが雑誌発表の無料リストならむしろ有り難かったが、3千円もするソフトでもこんな物ばかりが並んでいた。

 怒りに燃えたワタクシは、自分で思考ルーチンを考え始めていた。

 

 そんな折り、秋葉原に有った九十九電機という所が、革命的な麻雀ソフトを雑誌広告で発表した。

 その名も、「ウルトラ四人麻雀」。

 まずカラー写真に目を見張った。PC-8801用のそのソフトは、美麗カラーグラフィックを用いて、牌をほぼ完璧に再現していた。

 これだけでも当時としては十二分に購買意欲をそそられた優秀ソフトなのである。

 ところがウルトラ四人麻雀は、このくらいで「ウルトラ」と名付けた訳ではなかった。

 

 なんと、「コンピューターは一切イカサマをしません」と書いてあったのだ。

 この言葉が、当時のパソコンをやっている麻雀ファンの、どれほど待ち焦がれたものだったか。

 ウルトラ四人麻雀は当然の如く馬鹿売れした。

 MZマニアだったワタクシは、またPC勢に魅力的なソフトを出されたのを羨望の眼差しで見つめる以外に無かった。

 MZ勢は、まだ無力だった頃のハドソンが出していた腐れ麻雀を五千円以上出して買って肩をふるわせるか、諦める以外に選択肢が無かった。

 

 そして或る時、『トゥナイト』でこのウルトラ四人麻雀を扱ったのだ。そのくらい画期的な商品ではあったが、よく目を付けたものだ。

 更に目を見張ったのが、その『ウルトラ四人麻雀』を、事も有ろうに神様・阿佐田哲也に打たせるという試みをしていたのである。

 要は、コンピューターはどのくらいの打ち手なのかという事を調べたかったのだろう。非常に興味深い内容だった。

 ワタクシは、『ウルトラ四人麻雀』のテレビ登場だけでもワクワクしていたのに、まさかの動く阿佐田哲也登場に、興奮状態となった。

 

 そして、阿佐田哲也はやはり只者ではなかった。

 コンピューター側の時間を、最短というか、無にしていたのだ。

 つまり、相手側三人は、思考時間ほぼゼロで次々と打ってくるのである。一瞬の間も無い。

 自分が打つと、ほぼ次の瞬間に自分の番になるのである。

 勿論これは設定できたはずで、阿佐田哲也が自分で最も短い時間に設定したのだろう。

 

 そして彼は、その驚異的な配分の打牌を、なんの破綻も無く軽々こなしていたのである。

 もちろん人間だから、自摸る動作から捨てるまでの時間は、普通の麻雀と同じくらいかかっている。

 しかし自分が捨てるとコンピューター側は、バシバシバシと三人が続け様に打ってくるのだ。

 慣れない人では相手の打牌を見極められないだろうし、かなりの打ち手でも、いずれ摸打が狂ってくるだろう。

 これを易々とこなしていた阿佐田哲也は、流石の技だった。

 ちなみに彼の感想は、たしか、コンピューター側もきちんと打っているというような感じだったように思う。