挿しす世相史「新皇室典範の概要が報道される」[昭和21年8月8日(木)]
記事題を見て勘違いする人がいてはいけないと思い、いつもの書式とは変えて、当時日付も付加しました。
しかし、これでも勘違いする人は多いかもしれません。
この記事は、昭和22年に成立した現皇室典範の内容が、初めて(読売新聞)新聞記事となった時の事を振り返る記事です。
日付をご覧下さい。
驚くべき事に、本日とまったく同じ日付なのであります。
まさか今上陛下がそこまで計算されたとは思えないのですが、非常に興味深い偶然ではあります。
この時に検討された内容は、主として五点が挙げられています。
一.皇位継承の在りかた
二.皇族の範囲
三.譲位ならびに退位
四.改元
五.皇室財産(字がかすれているため読み違いの可能性あり)
このような内容が、きっかり70年前の今日、報道されていたのでした。
一については、人間的平等という観点から、女系の男子、男系の女子にも皇位継承を認めるべきとの検討もされましたが、結果は御存知のように、男系男子による継承が維持されました。
二については、五世論と四世論とが有ったものの、四世までとし、五世以後は臣籍降下の方向でまとめられるとあります。
三については、「人間として解放し」、譲位および退位を認めるべきとの主張が有ったとの事です。
例によって主語が有りませんが、GHQ、もしくはその意向を忖度した者による主張でしょう。
今般の問題にも関わる事で、その認めるべきとする論拠を、天皇の権限としてではなく、「人間として解放」などと言っているところが、一の場合もですが、いかにもアメリカのお仕着せを感じさせます。
今般にも、このような物言いをする者が出始めていますが、いずれにせよ進歩主義的な物言いではあります。
ただ、今般の今上陛下のお言葉を受け、譲位が認められる事になるのは避けられない情勢でしょう。その規定につきましては、かなり苦慮するとは思います。
四の改元につきましては、明治典範での一世一元が保持されました。この次に改正が有るとすれば、ここも改められる可能性は少ないながら有ります。
五の皇室財産につきましては、GHQの意向が大きく取り入れられたと言って良いでしょう。
その辺に関しましては、当ブログの過去記事で触れております。
今上陛下のお言葉は、まともな感覚の日本人の大人であれば、実に胸が熱くなるものでありましたね。
このような存在を頂ける日本という国に住む日本人という存在である事は、非常に得難き幸せである事を理解できなければ、寂しい人間であると思います。
事前には、現今の典範やその改革についても書くつもりでいたのですが、あのお言葉、あのお姿を拝しての今日は、刺々しい事を書く気は起きません。
その辺に関しましては、また土曜の恥恥放談の際に書きたいと思います。
*1:昭和21年8月8日付読売新聞