昭和唱和ショー「おひつ」
Gさん(仮名)「そう言えば、おひつも日常生活では見なくなりましたね」
ごいんきょ「ま、今でも和風のひなびた旅館なんかに行くと、おひつから装ったりするけどね。普段の生活では見かけないな」
G「と言うか、我々の子供の頃も既に日常では見なかったのでは」
ご「たしかに。ジャーというのは、わしが小学生の頃に我が家に入ってきたんだが、その前でもおひつは使ってなかったな」
G「どうしてたんでしょう」
ご「多分、一回一回の必要量だけ炊いて、少し余ったら茶碗とかに移して冷蔵庫に入れておいた感じだったかな。
当然、電子レンジなんかまだ無いから、それを食べる時は冷たい(笑)。それが嫌ならお茶漬けにしてたな」
G「おひつに移す作業が面倒臭かったんでしょうね(笑)」
ご「多分な。でも、電子ジャーなる物が入ってきた時は、そこに移してたわけだけど」
G「初期のジャーは炊飯機能なんか有りませんからね」
ご「そう。うちの場合はガス釜で炊いてた。それで、電子ジャーにわざわざ移すのよ。言ってみれば電気おひつだな」
G「ジャーは保温のためとわかりますけど、おひつって、なんで有ったんでしょうね」
ご「だって、かまどで炊いてた頃のお釜なんて、デカイし重いし、食卓になんか持って来られないよ。昔の家は人数も多かったから、かまどで装ってられないし」
G「そういう頑丈なお釜じゃないと美味しいお米が炊けなかったんでしょうね」
ご「わしが子供の頃の田舎では、かまども釜も、おひつも使っていたなあ。電化生活以前を知る、最後の最後の世代なのかもしれんな、わしは」
G「おひつっていうのは、木製ですね」
ご「そう。だから持ち運べるし、更には炊きたての飯から出る湿気を吸ってくれるというのも大事な役割だったんだろうな」
G「べしょべしょになったら、ご飯が台無しになっちゃいますもんね。
今でも普通にネット通販とかで買えるんですね」
ご「そりゃ有るだろうけど、殆ど業務用途だろ。一般家庭で使ってたら、かなりの通だよ」
G「”おひつ”とも、”おはち”とも言うみたいですね」
ご「うん。うちでは”おひつ”としか言ってなかったけど。”おはちがまわる”という言葉は、ここから来てるんだろうな」
G「”おはちがまわる”って言葉も昭和語ですね(笑)。意味が分かる人も減ったでしょう」
ご「稲田さんの次に防衛大臣のお鉢が回るのは誰だろうな(笑)」