テレビ主題歌音盤史 ~子供向けドラマ編~(26)
昭和46年
- 宇宙猿人ゴリ ⇒ 宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン ⇒ スペクトルマン
- すし屋のケンちゃん
- 帰ってきたウルトラマン
- 仮面ライダー
- 美しきチャレンジャー
- ワンパク番外地
- ガッツジュン
- めくらのお市
- コートにかける青春
- 刑事くん
- さぼてんとマシュマロ
- 好き!すき!!魔女先生
- レモンの天使
- わんぱく天使
- なんたって18歳!
- 美人はいかが?
- シルバー仮面 ⇒ シルバー仮面ジャイアント
- ミラーマン
宇宙猿人ゴリ ⇒ 宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン ⇒ スペクトルマン
第一次怪獣ブームが鎮火した昭和44、45年の不作を乗り越え、この昭和46年は、年始早々1月2日放送開始のこの番組で幕開け、第二次怪獣ブームの狼煙が上がりました。
ピープロダクションの制作ですが、第一次怪獣ブームの時に円谷プロの『ウルトラマン』より少しだけ早くピープロの『マグマ大使』が始まったように、この時も円谷の『帰ってきたウルトラマン』に先んじる形で、この『スペクトルマン』が始まっています。
開始当初は悪の側の『宇宙猿人ゴリ』を番組題にするという変わった形でしたが、流石にわかりづらいという事で『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』に、更には普通の形態である正義の側を題とした『スペクトルマン』へと改題されました。
都合三度も番組題を替えたというのも珍しい事例となっています。
宇宙からやって来て地球征服を狙う科学者・宇宙猿人ゴリの野望を打ち砕くために戦う、ネビュラ遊星人が派遣したサイボーグがスペクトルマンです。
時は公害が社会問題として騒がれている頃で、怪獣や背景にそうした事が多く織り込まれました。
主題歌は正副共に番組前期と後期で二種類有り、後期主題歌は日本コロムビアが独占しています。
前期主題歌はハニー・ナイツ歌唱で、コロムビアの他に朝日ソノラマが二種類のソノシートを出しました。
但しカバー盤が各社から出されており、テイチクがサニー・メイツ、ビクターがザ・ブレッスン・フォー、東芝が上西弘次の歌唱で音盤化されています。
上西弘次はスペクトルマンの着ぐるみ演者で、主役が主題歌を歌う例は有るものの、こうした例は非常に珍しいものとなっています。
また、サン企画と勁文社もテレビ歌手と同じハニー・ナイツの歌唱で前期主題歌をレコード化していますが、児童合唱がテレビではみすず児童合唱団だったものが若草児童合唱団で収録されています。
すし屋のケンちゃん
TBS木曜19時半からのライオンこども劇場でのケンちゃんシリーズで、初めてケンちゃんの家がお店屋さんとなった番組です。
妹のトコちゃんも引き続き出ていました。
主題歌は、開始当初は藤田とし子が歌っていましたが、後に主役のケンちゃんこと宮脇康之が自ら歌うようになりました。
宮脇は前々作の『ジャンケンケンちゃん』でも一部を歌っていましたが、ここから本格的に主題歌を担当するようになり、レコード会社も東芝専属となったようです。
音盤は、藤田版がテイチクから、宮脇版が東芝から発売されました。
帰ってきたウルトラマン
怪獣アトラクションを番組化したようなミニ番組、『ウルトラファイト』での子供達の反応から円谷プロや局がウルトラマンの新シリーズを始める自信を深めたようで、『宇宙猿人ゴリ』に遅れる事3ヶ月、いよいよ第二次ウルトラが開始されました。
その第一段たるこれは、あの”ウルトラマン”が帰ってきたという感じでの始動でしたが、徐々に両者は別物という描かれ方となっていき、後にはウルトラセブンも含めて兄弟という設定にされました。
少し前に始まっていた『宇宙猿人ゴリ』との相乗効果で、一躍、第二次怪獣ブームの様相を呈していきますが、その世情形成に大きく寄与したのが、勁文社の発行した怪獣事典である”原色 怪獣怪人大百科”でした。
更に翌日には『仮面ライダー』が始まり、”第二次怪獣ブーム”は”変身ブーム”へと広がりを見せて、昭和47年、48年と、テレビ史に残る過熱ぶりで推移していく事となります。
主題歌は主役を演じた団次郎が歌い、日本コロムビアが独占で発売しています。
第一次ブームの時にはTBS参加の日音が音源を差配し、参入希望社には等しく音盤化させていましたが、この頃にはそうした方針も崩れ、テレビと同じ音源は或る一社が独占するという形となりました。
但し、これもカバー盤は数多く存在しており、ビクターがヤングフレッシュ、キングがボニー・ジャックス、東芝が若子内悦郎、テイチクが山形忠顕の歌唱でそれぞれ音盤化しています。
ソノシートの売り上げが落ち始めていた朝日ソノラマは、ソノラマレコードという物と二面展開をしていた時期で、二種類出したシートはコロムビアから音源を借りられたようです。
しかし、それらをレコード化した物はレコード同士で競合するため、挿絵やドラマはそのままながら、歌手だけが外山浩爾に差し替えられました。
他に東宝レコードと、エルム、勁文社というシート会社も外山浩爾歌唱のものを音盤化しています。
更にキャニオンレコードは、主題歌の収録を諦めてドラマを両面に収録した33回転EP盤を発売しました。