無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

フジテレビこども新聞に見る「魔神バンダー」「万国びっくりショー」

フジテレビ番組編成の歴史

Gさん(仮名)「なんです? フジテレビこども新聞って?」

ごいんきょ「昭和40年代前半だと思うんだけど、フジテレビ編成部広報課が、子供向けに発行していたタブロイド紙だな」

 

G「”母と子のフジテレビ”をキャッチフレーズに掲げていた、昔のフジテレビらしいと言えばらしい物ですね」

ご「ああ、それ、正しくは”母と子どものフジテレビ”だからな」

 

G「あれ? ネット上では圧倒的に”母と子のフジテレビ”って話が闊歩してますけど」

ご「誰が言い始めたんだろうな、それ」

 

G「え~と……あなたの本拠地で検索すると、ズラズラと”母と子のフジテレビ”って言葉が出て来ますよ」

母と子 フジテレビ site:goinkyo.blog2.fc2.com - Google 検索

ご「うちかい!(笑)

  ま、大した違いではないから何も問題にはならないだろうけど、こんなとこまで読んでいる人には正しい情報を書いておこう(笑)」

 

G「素直に、適当に書いてましたと認めましょうよ(苦笑)」

ご「いや、そんな事は常日頃から公言しているから今更いいんだよ(笑)。

  この言葉はあの鹿内信隆が開局当時の専務時代に決めたもので、番組編成に於いては面白ければ何でも良いという主義を排して、”明るい家庭に楽しいテレビ”というのをモットーとして、番組編成の基本に”母と子どものフジテレビ”をキャッチフレーズとしたんだ」*1

 

G「ひょうきん族の頃と考え方が正反対ですね(苦笑)」

ご「そう。鹿内信隆路線は視聴率が行き詰まり、”振りかえれば12チャンネル”と言われる状況にまでなったんだな。そこで信隆は昭和55年に倅の春雄、通称”ジュニア”を副社長にし、強化副本部長として全権を与えて立て直しをやらせたんだ」*2

 

G「頼近美津子さんと結婚した人ですね」

ご「ああ。内部的にも色々と改革したんだが、対外的には昭和56年秋、フジテレビはキャッチフレーズを”楽しくなければテレビじゃない”にしたんだな。正に親父と正反対の考えを標語にしたわけよ(笑)」

 

G「でも、それで実際にフジは一気に民放最強の局になりましたからねえ」

ご「まあな。尤も、そういう考えで長年おちゃらけた番組を垂れ流し続けてきたことが、日本人を馬鹿にしてしまったという批判も無いではないが」

 

G「随分前から、どのチャンネルに入れてもお笑いの人間が出ずっぱりですもんね。歌番組とか教養番組とか教育番組とか時代劇とか、無くなっちゃいましたよ」

ご「だから信隆路線が間違っていたと単純にも言えない。とは言え、その頃のフジは実際につまらない番組ばかりだったがな(笑)。なんと言うか、他局の後追いのようなものばかりで。

  開局当時は違ったんだが、信隆の権力が強くなるに従って、現場がどんどん萎縮していったんだ」

 

G「中庸というものが無い局なんですね(苦笑)」

 

万国びっくりショー

ご「で、この新聞は、”母と子どものフジテレビ”路線がギリギリ光彩を放っていた頃のものだな」

 

G「どんな内容なんですか」

ご「全4面、つまり一枚の用紙を二つ折りにした紙面だな。一面はテレビに関係の無い報道で、”今年のこども十大ニュース”とか、信隆の道楽だった彫刻の森美術館を紹介したりしている(笑)」

 

G「うはあ(苦笑)」

ご「2~4面が、フジテレビ番組の紹介記事だな。勿論、子供が見られるような番組ばかりで、”ナイトショー”なんてのは扱ってない(笑)」

 

G「やはりテレビまんがと子供向け実写ドラマですか」

ご「基本そうなんだが、”万国びっくりショー”みたいなものも扱ってるな」

 

G「懐かしいっスねぇ~、八木治郎。『万国、びっくりショー!』って彼の叫びで始まるんですよね」

ご「で、本拠ブログのコメント欄でも話題になったキム・ウンヨンくんの記事が有ったんだ」

万国びっくりショー (1967) - 私的 昭和テレビ大全集

 

G「おぉ!あの韓国の天才少年ですか」

ご「当時4歳のウンヨン君には、実は2歳のチャンヨン君という弟がいて、弟も天才少年だったんだな」

f:id:sammadaisensei:20170315004403p:plain*3

 

 G「なんか写真見ると、分母にルート使った数式とか計算してるんですけど…」

ご「数学だけじゃなくて、詩や哲学もこなしたというから本当の天才だよ。尤も、件のコメント欄に拠れば、その後は普通の人になっているらしいが」

 

G「それも凄いと思いましたが、横に有る『妖怪人間ベム』の4コマ漫画がいい味ですね(笑)」

 

 

魔神バンダー

ご「わしは『魔神バンダー』の紹介記事が面白いと思ったんだけど、知ってるかな、魔神バンダーなんて」

 

G「まあ、普通の人は知らないでしょうね(苦笑)」

ご「だよなあ(笑)。ロボットみたいな奴なんだけど、攻撃を受けたりして怒ると、首が亀みたいに体の中に引っ込むのよ。そんで、目の吊り上がった別の顔が出てくる。怒ると顔が変わるロボットなの」

 

G「大魔神のパクリじゃないですか!(苦笑)」

ご「有り体に言えばな(苦笑)。だから、この頃からもう、フジテレビは後追い企画みたいなものが闊歩しだすのよ。

  わしもチャンネルをガチャガチャしている時に、ふと異様な感じの画面だったんで、ちょっと見たことが有るんだけど」

 

G「異様な感じの画面ってなんです?(苦笑)」

ご「なんと言うかさあ、色合いとか造形とか、雰囲気が独特なんだよね。セピア色が基調になっているみたいな。円谷プロみたく明るい、抜けた感じの画面じゃないの。もう、見るからにうらぶれた作品って感じで(笑)」

 

G「子供が見てそんな印象を感じるって、よっぽどですね(苦笑)」

ご「だからさあ、なんというか、不気味というかグロいと言うか、一種独特の嫌な感じが漂ってたんだよね~。すぐに替えたもん、チャンネル(笑)。あれが円谷とか東映の作品だったら、絶対に最後まで見てたよ」

 

G「どこが制作してたんですか?」

ご「NMCってとこで、昼ドラで名を馳せた会社だな」

 

G「ああ…(苦笑)。だから、おどろおどろしてたんですかね(笑)。

  でも、なんでそんな番組の記事が面白いんです?」

ご「いや、なにしろ13本で終わってるし、そんな感じで人気も無かったから、現在に至るまでマニア以外には全く振り返られない幻の作品で、情報が異常に少ないのよ。だから、ちょっとした情報でも珍しいというのが一つ。

  でも、わしが”面白い”と思ったのは、記事中の描写でね。こんな事が書いてあんの」

 

魔神バンダー”と、この魔神をあやつり、人類の平和を守るために活躍する宇宙少年を中心にした、とてもたのしい冒険物語 

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G「たのしい冒険物語だったんですか?」

ご「いや~、この番組をそう捉える人は、かなりの少数派だと思うよ(笑)。なにしろ最終回は子供番組史上に残る物凄い悲劇なんだから。検索したら出てくると思うよ」

 

G「人気番組だったら歴史に残る最終回ですかね」

ご「いや~、人気が有る番組だったら、あんな最終回にはできないね、逆に(笑)。なにしろ同期の桜が流れる中、バンダーが体当たりしちゃうんだから。そんで、バンダーの持ち主である宇宙人二人は二度と帰れなくなっちゃう。地球人のワガママで(笑)」

 

G「なんだか、映像で見たくなりますね(笑)」

 

 

 

*1:フジテレビジョン十年史稿

*2:フジテレビジョン開局50年史

*3:フジテレビこども新聞 昭和43年12月号