挿しす世相史「欧州共同市場発足」
昭和33年1月1日(水)=現地、午前0時をもって欧州経済共同体と欧州原子力共同体に関する条約が、正式に発効しました。
これは後のECやEUに繋がっていくもので、二度に渡る戦争に厭戦気運の盛り上がったヨーロッパで、もう戦争を起こさないような統一的な仕組みを模索した事が元となっているようです。
ですから、ドイツ(当時は東西分裂のため西ドイツ)とイタリアが加わっているという事が非常に大事な点です。
しかし、これにフランスやイギリスといった戦勝国が加わってくるにつれ、段々と揉め事も増えてきます。
フランスとイギリスの間でも駆け引きが有り、アメリカと繋がりが深いイギリスは、特に警戒されました。
欧州共同体とは、すなわち、第二次大戦後に異様に発言力を増したアメリカに対抗する欧州の知恵であるとも言えるでしょう。
そして1990年の東西ドイツ統一により、一気に全ヨーロッパ統一の機運が盛り上がり、1993年に、ついにEUとして積年の理念が結実しました。
しかし、それも昨年、イギリスの離脱が国民投票によって可決されるなど、急速に国境を策定し直す事の難しさが露呈した形となり、前途が非常に危ぶまれるものとなっています。
*1:昭和33年1月3日付読売新聞