昭和唱和ショー「シミーズ」
一般的に、男には女性の服飾の事はよく判らない。更にその中でも、下着に関してとなると、特によく判らない。
ワタクシが小学生の頃には、「シミーズ」と呼ばれる女性用下着が有ったのだが、知人の女性に聞いたところでは、今はもうシミーズとは言わないようだ。
少し前に「ブラスリップ」なんて言葉をよく聞いたから、じゃあ今は「スリップ」と呼ぶのかと思っていたら、ウィキペディアに拠れば、そうでもないらしい。
最も相応しい現代の呼び名は、「(ロング)キャミソール」という事になるのだろうか。
最初の頃は「シミーズ」と言っていたのだが、時代が数年進むと「シュミーズ」の方が一般的になって、なんだかお洒落な呼び方になったなと思っていた。
だが、そうこうしているうち、昭和50年代後半になると、その手の言葉は聞かなくなってしまった。
どうやら70年代のパンタロンブームがシミーズを駆逐してしまったらしい。
それでも制服の女の子はシミーズを着ていたのだろうが、一般女性が着なくなっていった事により、女児用のシミーズも徐々に姿を消していったのだろう。
さて、この「シミーズ」は、いつ頃から日本人に親しまれるようになったかというと、ワタクシの想像よりは早くて、昭和20年代後半には新聞で紹介されだしている。
意外な事に、「シミーズ」という言葉より「シュミーズ」の方が、昔はよく用いられていた。敗戦後すぐの進駐軍が居た頃は、なるべく本来の洋語に近い発音を表現しようとしている事が伺える。
昭和30年代になると、それまでの日本人には難しい拗音表記は一般的にむしろ使われなくなり出し、シュミーズもシミーズとなっていく。
この記事の書かれた昭和43年に、下着類やセーターなどの大きさの規格が通産省によって統一され、百貨店に使用が要請された。
この頃、女性の胸回りはLで78だったのだ。
そして、「ショーツ」という言葉は意外に古くから使われている。
「シミーズ」と混同されるという「スリップ」に関してはと言うと、こちらも意外と古くて、戦後すぐには使われていたようだから、もしかしたらもっと昔から使われていた言葉かもしれない。
まとめると、「スリップ」というのはその名の通り、滑るような生地の中間肌着。
「シュミーズ」は綿とかの、もっと下着っぽい中間肌着で、昭和30年代あたりに当時の日本人が発音しやすい「シミーズ」となり、更に英語に慣れた世代が増えて「シュミーズ」に戻り、そのままパンタロンブームを経て死語化して行った。
そして現在では、「キャミソール」がそれらを全て包含してしまった、という認識で良いのだろうか。
実は細かい認識は、女性たちの認識も定まってはいないようだ。