朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(45)
昭和45年放送開始のテレビまんが主題歌
- 動物村物語
- いたずら天使チッポちゃん
- あしたのジョー
- ばくはつ五郎
- 昆虫物語みなしごハッチ
- 赤き血のイレブン
- 男どアホウ!甲子園
- キックの鬼
- いじわるばあさん
- いなかっぺ大将
- のらくろ
- 魔法のマコちゃん
動物村物語
横山隆一が主催していた おとぎプロが、実験的に制作していた全100編(カラー36、モノクロ64)の短時間動画を放送番組センターが買い取り、放送希望局に貸し出すとしたものです。
それをNETが朝の時間帯に月曜から木曜までの帯放送したものですが、裏番組に『おはよう!こどもショー』が有ったので、本放送を見ていた人は少ないでしょう。
元々が実験的短編動画ですので主題歌などは無く、ピアノによる単調な音楽が奏でられて始まっていました。
音楽担当(作曲)として作家の大岡昇平の名が入っていますが、どのように関わっていたかは不詳です。
ネット上では、このピアノを弾いていたのが大岡だという話も広まっていますが、大岡とは別に小松亘弘の名が音楽演出としてあり、おそらく実際に弾いていたのは小松だと思われます。
音盤としては、朝日ソノラマがソノラマレコードとして二種類出しています。
まともな主題歌も無く、それまで繋がりも無い おとぎプロの作品なのに、どうして音盤化が企画されたのかは謎としか言えません。
ただ、ここからほんの少しの期間ではありますが、シートで押していたソノラマが時代の波に抗しきれずに「ソノラマレコード」としてレコード盤の制作も手掛ける事となります。
あしたのジョー
梶原一騎原作によるスポ根まんがは、この年も3本も始まりましたが、中でも社会的訴求力が高かったのが、この『あしたのジョー』でした。
あまりに有名なボクシング漫画なので解説は省きますが、提供会社のヱスビー食品、伊藤ハムという並びといい、テレビまんがの対象が、いよいよ幼児層を主体としたものではなくなっていきました。
ジョーの声にも、ドラマで気を吐き出していた、元アイドルの あおい輝彦が起用されるなど、いよいよ漫画、テレビまんがも、市民権を得たと言って良い頃でしょう。
この作品も、大当たりしたスポ根まんがの例に漏れず、多社から多数の音盤が出され、軒並み売れたようです。
ソノラマはシートで二種(最初の物はレコードでも発売)、レコードはコロムビア、キング、テイチク、ビクター、東芝、更にはエルムまで、ほぼ一通りの社が参戦しました。
ばくはつ五郎
この年はスポ根ブームの流れからか熱血ものが目立ち、この作品も学園を舞台として主人公が喧嘩やスポーツに活躍する、テレビまんが版青春ドラマという珍しいものでした。
音盤としては、東芝が正副主題歌の他に挿入歌を二曲入れた、四曲EPレコードを発売しました。
ソノラマもシートで主題歌二曲とドラマ収録の物を出し、更にソノラマレコードとして同じ内容の物を発売しました。
提供会社はグリコの他、ブラザー、象印、富士重工、昭和石油と、子供を対象と見定めた企業による一社提供時代は、ほぼ終焉の時を迎えていたと言えましょう。
内容も、学園青春ドラマとしたのは、若者を標的としていたのでしょう。
新たな旦那を見つけるまで、子供番組制作の中間苦闘期がこの時期で、それはもう少し続く事となります。