読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(27)

 『ウルトラQ』が社会的な怪獣ブームを現出させたのに続き、TBSは半年後にはカラー化して巨大超人を主役とした『ウルトラマン』を放送。

 これまた社会的な番組となって、テレビ史に新たな1ページを加えたのです。

 しかし、初の巨大ヒーロー、初のカラー特撮という称号は、わずか一週間先にフジテレビで始まった『マグマ大使』のものとなりました。

 

 橋本一郎は、虫プロで、常務から東急エージェンシーのプロデューサーを紹介され、少年画報連載の『マグマ大使』がフジテレビで放送されるのを知りました。

 尤も、この漫画には手塚治虫自身は殆ど関わっていないというのが実相のようで、手塚治虫作品と言うよりは虫プロ作品と呼ぶべきものなのかもしれません。

 後年の『サンダーマスク』もそうですが、手塚原作とされる巨大ヒーロー物は、手塚自身が関わっていないばかりか、むしろその存在をあまり快くは思っていなかった節すら有ります。

 断り切れずに名前を貸したという感じでしょうか。

 いずれにしても形としては、『ウルトラQ』に蹴散らされた手塚治虫が、『ウルトラマン』を先制したようなものとなっています。

 

 『ウルトラマン』はTBSですから日音管理で、ソノラマ独占とはならず、非常に多数のレコード会社や出版社からレコードやシートが発売され、どれもかなりのヒットとなっているかと思います。

 中でもテイチクのレコードと、やはりソノラマのソノシートが抜きん出ていたのではないでしょうか。特にテイチク盤の中古残存度が物凄いものが有ります。

 いよいよレコード会社も、「ジャリ番組」の音盤の旨味を味わったのでした。

 

 『マグマ大使』の作曲家は、橋本が三番手に推薦した山本直純が起用されました。*1

 収録の時、「カシーン、カシーン」と叫ぶ声を主役であるマモル少年役の江木俊夫がやっていたのですが、これに山本が難色を示したのです。

 そこでフジテレビの担当者が別スタジオで収録していた清水マリ(鉄腕アトム役で有名)を連れてきて試したところ、そちらでOKが出されたのでした。

 『マグマ大使』のアース様役は清水元。他ならぬ清水マリの父親ですので、番組中では、娘の方は声だけとは言え、親娘共演が実現していたことになります。

 

 『マグマ大使』の音盤は、そのようにソノラマの橋本が主導権を持っていたようですが、独占ではなく、日本グラモフォンのキンダーレコードからも出されました。

 日本コロムビアも出してはいますが、そちらはゆりかご会の歌手によるカバー盤で、番組の雰囲気からは程遠いものです。

 ですがキンダーレコードはテレビ版のままで、どのような理由で音盤化権を獲得できたのかが謎です。

 それまで子供番組音盤でほとんど目立たなかったグラモフォン(ポリドール)が、いきなり登場してきました。

 

 実売としては、やはり販売網の差が物言ってでしょうが、ソノラマの圧勝だったでしょう。

 更にソノラマは、新たに「ゴアの歌」を収録した第二集を出版。

 こちらの方もわりと売れたのではないでしょうか。

 こうして第一次怪獣ブームとも呼ぶべき時機が到来し、相対的にテレビまんがの需要も落ち着いてきました。出せばどれも当たるという時期は過ぎ、出したが売れない作品が増えていきます。

 制作関係者は、『オバケのQ太郎』『おそ松くん』の大ヒットに、SF・宇宙少年もので溢れかえった状況からの反省を見取ったのでしょう。

 昭和41年度テレビまんがに、更に新機軸が登場する事となります。 

 

*1:鉄腕アトムの歌が聞こえる」橋本一郎少年画報社

広告を非表示にする