挿しす世相史「都営地下鉄の営業初日大混乱」
昭和35年12月4日(日)、東京都営地下鉄が営業初日を迎えましたが、幾つかの不首尾で混乱しました。
押上から浅草橋の間の線だったのですが、工事の不備で当日になっても運輸省の認可が下りず、空車で走るなどの光景が繰り広げられました。
これは浅草橋駅階段のタイルや手すりなどが未完成で、乗客の安全確保に怠りが有ると判断されたためです。
11月30日の「完工式」の際にもこの事態は予測されていたのですが、当日までの徹夜作業も間に合わず、この失態となったのでした。
14時半になって漸く許可が下り、同49分発浅草橋発青砥行きの車両で初めて乗客を乗せて運行しました。
第一号の切符を求めて徹夜した客もおり、その上、都交通局の首脳は雲隠れしてしまったために各駅長も事情を説明できず、混乱に拍車を掛けました。
その場の機転で駅内を案内したり、電車に触らせるなどの「案内」をするなどして客をなだめるなど、現場の苦労は相当なものでした。
来る東京五輪の施設も色々と遅れておりますが、このような失態の無いようにお願いしたいものです。