無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

昭和唱和ショー「算盤」

 先日の『挿しす世相史』の方で「完全オンライン化」について触れました際に、算盤も扱ってみようかと思い至りましたので、今回は珍しく予告通りの内容です。

 そもそも「算盤」という字すら、平成っ子には読めますまい。

 ソロバンですね。って、片仮名で書いても物が想像できないか。

f:id:sammadaisensei:20160816142323j:plain こんなのです。

 

 上の珠(たま)が「5」を表しているので、縦一列の5つの珠で1~9までを表せるという事です。

 でも、ワタクシも両親の田舎でだったか見た事が有りますが、もっと古い物には上段の珠が2つの物も有りました。

 

 今、電子計算機が無い家は有るかもしれませんが、昔は算盤が無い家というのは、かなり特殊というか、無かったのではないかと思います。

 そのくらい必需品だったのですが、その頃はお店も人間が計算していたので、けっこう間違いが有ったのですよね。

 だから主婦としては、算盤を弾いて家計簿を付けるというのは殆ど必須という感じだったかと思います。

 「主婦と生活」「婦人倶楽部」などの年末発売新年号には、必ず家計簿が付録に付いておりました。

 

 算盤は結構、子供達の遊び道具にもなっていて、トニー谷がマラカスのように使ってカチャカチャ鳴らすのを真似るくらいまではまだ良い方。

 指で弾けるように珠が出っ張っているので、引っ繰り返すと、手押しで車のように地を這わせることが出来るようになるのです。

 更には自分がその上に乗り、簡易スキーのような真似をする子も、少なくなかったはず。

 いろんな意味で生活に密着していました。

 

 昭和30年代末頃から、計算機のような物が出始めたようです。

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 「機械ソロバン」という名目でした。5800円というのは、今の7-8万円前後ではないかと思います。

 写真からはどのような機能なのかわかりませんが、加算機という名称から、加算だけしか出来なかったのかしれません。

 

 次に出てきたのは、「ICソロバン」という呼称です。

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 いよいよカシオ計算機の登場です。

 この形状の計算機はワタクシも見た事が有ります。16万5千円という値段は、おそらく今の30-50万くらいの価値は有るかと思いますし、見た目も一時のパソコンほどの大きさでしたが、能力は今の関数電卓以下でした。

 基本的に加減乗除のみで、他にはルート計算が出来たくらいだったかと思います(しかも他愛なくオーバーフロー)。

 

 翌年にメモリー機能が付いたあたりから、昭和世代には馴染みの深い「電子ソロバン」という呼称となります。

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  「計算機」という呼称より、「電子ソロバン」の方が通りが良かったのですね。

 

 ワタクシの記憶では、昭和50年代前半までは、まだまだ計算機も高い物で、それほど身近ではなかったです。

 街中の店舗などでは計算機を使う所が激増した時期ですが、それでも金融機関、特に郵便局などのお役所系では、検算に算盤を使う人も多かったですね。

 しかし、計算機が身近に感じる値段、数千円台になってからは、見る見る値段も下がっていき、アッと言う間に千円電卓とか出たように思います。

 千円電卓を初めて知った時には、ほんの十年ほど前に何十万円もしたものがと驚いたものでした。

*1:昭和39年11月2日付読売新聞

*2:昭和43年11月13日付読売新聞

*3:昭和44年8月2日付読売新聞