無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

昭和唱和ショー「緑風会」

 先の日曜は参議院選挙でしたが、かつて、と言ってもそんなには昔の話でもなく、戦後昭和に、政党政治制とは一線を画す動きが参議院に有ったのを思い起こせる人は、どのくらいになっているのでしょう。

 それが、「緑風会」でした。

f:id:sammadaisensei:20160713225742j:plain*1

 

 『真実一路』『路傍の石』で有名な文学者の山本有三らを中心に、第一回参議院議員選挙での当選者のうち、無所属議員有志で会派を結成して、政党政治に新風を巻き起こす勢力となりました。

 昭和22年5月18日時点での参院勢力図は、社会党47、自由党42、民主党40に対し、緑風会74という最大会派となり、文字通り政治に新しい風を吹かせたものです。

 

 一応解説しておきますと、戦後すぐの頃は反戦厭戦気運と、戦前の保守政治の暴走の記憶が有って革新系の政党がなかなか強く、この後すぐの昭和22年5月24日より、日本社会党片山哲委員長が総理大臣となるわけです。

 そんな訳で貴族院に代わり新設された参議院でも社会党が第一党だったのですが、自由党民主党というのは、後に合併して今の自由民主党となる党ですから、その両党を合わせると保守勢力は社会党を上回り、緑風会をも凌いでいたとも言えます。

 ですが、この頃はまだ、自由党民主党は犬猿の仲なのでした。

 

 ともあれ、緑風会は大政党の意向のみで動く衆議院とは一線を画した動きを取り、この事を以て、「参院良識の府」と呼ばれるようになったのです。

 選挙を経る毎に、やはり組織の力が物を言い出して緑風会は退潮していきましたが、この気風は緑風会が消滅した昭和40年代以降も参議院議員の中には強く意識されておりました。

 しかし時代が平成に入ると、小選挙区制、比例代表制政党助成金と、政党政治制を盤石にする動きが立て続けに具象化し、現在の政治体制では、参議院も完全に劣化政党府となってしまっています。

*1:昭和22年5月11日付読売新聞