昭和唱和ショー「ランデブー」
Gさん(仮名)「ランデブーというと、三人娘の”素敵なランデブー”を思い出しますねえ」
ごいんきょ「”ひばり・チエミ・いづみ”か。わしらの前の前の世代だな」
G「でも、我々の頃もたまに三人集まってワイワイやってましたよね」
ご「中で健在なのはトンコだけになってしまったな」
G「雪村いづみさんですね。一番若かったのかと思ったら、三人とも同じ昭和12年生まれだったんですね」
ご「だから、江利チエミや美空ひばりが、いかに早く亡くなってしまったかという事だな」
G「”ランデブー”というのは、現在で言う”デート”って事ですね」
ご「そう。戦後は英語が怒濤の如く入ってきたのに、なんでこれはフランス語が流行ったんだろうな。尤も、”ランデブー”の寿命は短くて、昭和40年代に入ると、すっかり英語の”デート”に取って代わられてしまう」
G「”ランデブー”時代って、日本語で”逢い引き”って言う事も多かったでしょうね」
ご「”逢い引き”も、もう使わないよなあ。”ランデブー”は、やはり若さとか新しさって感じのする言葉だったんだろうな、当時は。ところが英語の”デート”も使われ出すと、なんかモサッとした語感になったんだろう」
G「普通に今の”デート”みたいな使われ方をしてたんですかね」
ご「それはそうだな」
G「へえ。当時の男性も、今の若者と同じ様な悩みが有ったんですね。昭和33年の投稿とは思えないですね」
ご「で、”ランデブー”という言葉は”デート”という意味では使われなくなっていくんだが、暫く完全には消えなかったんだ」
G「ですよね。けっこう我々が子供の頃も使っていました」
ご「特に使われていたのが、宇宙開発の報道でだな」
G「ああ、それで…」
ご「昭和30年代後半の、ケネディ大統領による宇宙開発計画あたりから、人工衛星が宇宙船に伴走するのをランデブーと呼ぶようになってくるんだ。
それでアポロ計画になってくると、どんどん”ランデブー”という語句が使われる機会が増えていって、それと呼応するように”デート”という意味での使われ方が減っていくんだよ」
G「へえ、面白いですね。じゃあ、”ランデブー”という言葉を葬ったのはアポロ計画ですか」
ご「だから”デート”という意味の”ランデブー”を、だな。当の”デート”という言葉と、アポロ計画が、日本での”ランデブー”の意味合いを変えてしまったと言えるだろう。語感が、まるで宇宙技術用語のようになっていったんだな」
G「なるほどね~。ここって時々、物凄く誰もほじくらないような発見をしてますね(笑)」
ご「そうそう。隠れた名湯のようなものでな(笑)。
で、アポロ計画も終わり、本当の終末が”ランデブー”に訪れたという事だろう」
G「いやー、今回はなんか久々に、新たな発見を得たような充足感が有ります」
ご「だなあ。美味い”ブランデー”で一杯やりたい気分だな」
G(いちいち面白くないオチを付ける癖が無くなるともっといいのに……)
*1:昭和33年1月28日付読売新聞