無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

漫画投句「昭和野球漫画列伝」

Gさん(仮名)「飛び飛びになってますが、今は野球漫画の系譜って特集でしたよね」

ごいんきょ「そのつもりだったんだけどさ、水島新司以後も、昭和時代には大した野球漫画が無いのよ(苦笑)」

 

G「つまり、昭和の野球漫画特集すなわち水島新司特集になってしまうと」

ご「掻い摘まんで言うとそうなってしまうな(笑)。ちばあきおの作品については両方とも書いてるし」

 

G「ちばさんと水島さん以外は、どんな野球漫画が有りましたっけ?」

ご「吉森みき男の『しまっていこうぜ!』なんてのが有ったけどなあ。あれが、ちばあきお以上に地味で、わしはいつも流し読みしかしてなかったな。なんと言うか、ヤマが無いと言うか(笑)。

  今回、全巻を無料公開している所を見つけたんで、もう一度きちんと読み直してみるよ。それで面白かったら、別に扱おうと思う」

 

G「面白くなければ、このまま黙って触れずじまいという事ですね(苦笑)」

ご「それにしても、この『しまっていこうぜ!』も昭和47年開始みたいだな。わしの記憶では『ドカベン』や『キャプテン』の方が早いと思うが、この3つで、どれが一番最初だったんだろう。それこそが、真の元祖野球漫画に相応しいのだが」

 

G「『しまっていこうぜ!』と『キャプテン』は、本当に似た作品世界ですね。どちらも中学野球ですし。後からの方が影響を受けた可能性も無きにしも非ずですねえ」

ご「それは週刊チャンピオンだったが、月刊チャンピオンにも『リトルの団ちゃん』なんてのを梅本さちおが描いてたな。秋田書店は本格少年野球漫画を押しまくってたよ、あの頃」 

リトルの団ちゃん 2 (少年チャンピオンコミックス)
 

 

G「それはリトルリーグを描いた作品ですね。あと、他ならぬ『ドカベン』も週刊チャンピオンでしたしね」

ご「ああ。それだけ野球漫画が商売になった時代なんだな。一誌に二つ三つ載ってたんだから」

 

G「高校野球漫画というと水島さんとちばさんの独擅場ですかね」

ご「水島新司はチャンピオンの『ドカベン』、マガジンの『野球狂の詩』と並行して、サンデーに『一球さん』なんてのを連載していた。これが奇妙な面白さを持った漫画だったな。本格野球漫画というよりは、ちょっと奇をてらったとこが有った」 

一球さん SPECIAL DVD-BOX

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G「題名からしてアニメで大当たりしていた『一休さん』の捩りですもんね(笑)」

ご「あれも一応は高校野球だったな」

 

G「リトルリーグを描いた作品って少ないですよね」

ご「一応、『リトルの団ちゃん』くらいしか記憶に無いな。あとは高橋よしひろがジャンプで『あくたれ巨人(ジャイアンツ)』なんてのを描いてたが、あれはかなり特殊な作品世界だったしな」 

 

G「後年、大作家ならぬ犬作家になる高橋先生ですね(笑)。特殊と言うと?」

ご「プロ12球団だったかセリーグ6球団だったかが、少年野球チームを作るのよ。三軍みたいな感じだったかな。例えば読売なら”ヤングジャイアンツ”ってチームを。それで、主人公は当然ヤングジャイアンツで(笑)、それぞれのチームにライバル投手たちがいるって感じだったな。伝統的な多球団野球作劇の焼き直しだが」

 

G「キングではどんな野球漫画が有りましたっけ?」

ご「キングまで聞く?(笑) どうせ誰もわからんぞ(苦笑)。

  覚えているのでは『オッス!努力』なんてのが有ったな。

  これも少年野球、たしか中学野球かな。題名といい、これまた『キャプテン』の影響下に有る作品なのは間違い無い。ただ、主人公の名前は努力だけど、漫画自体は努力を前面に打ち出したものではなくて、明朗ものだったな。

  あと、”漫画くん”って新雑誌で、水島新司が『球道くん』って少年野球漫画を描いていた。雑誌が売れなかったから読んでいた人間は少ないだろう。他ならぬわしも読んだ事が無い(笑)」  

球道くん 19 (少年ビッグコミックス)

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G「意外とプロ野球ものが無いですね」

ご「ジャンプがマガジンから奪い取ったんだろうけど、代々”実名巨人軍漫画”ってのをやっていたのよ。『あくたれ巨人』もそうだけど。だから他誌はジャイアンツを描けなかったんだろう、契約上」

 

G「なるほど。プロ野球を描こうとしたら、ジャイアンツを描かないわけにはいきませんもんね(笑)」

ご「そこに風穴を開けたのが水島新司大先生よ。『野球狂の詩』では架空の東京メッツという球団で世界を築いたし、青年誌の『あぶさん』では、ついにパ・リーグ南海ホークスを中心に描いたというな。つくづく野球漫画の神様よ」  

あぶさん 100 (ビッグコミックス)

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G「『一球さん』が通っていた高校は”巨人学園”でしたよねえ。その名前も当てこすりみたいなものだったんでしょうか(笑)。

  あぶさんと同じ頃ですか、少年キングでもロッテ自身がスポンサーになって『おれとカネやん』っていうロッテ中心の漫画を連載してましたがね」 

おれとカネやん〔完全版〕【1】悪童の章 (マンガショップシリーズ (119))

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ご「御大・梶原一騎原作だからなあ。プロ野球参戦にあたって、かなり力を入れていたんだよな、ロッテも。近年、漸く長年の努力が実を結んできて、人気も出ているけど」

 

G「独自世界ものっていうと、やはり『アストロ球団』の右に出るのは無いですね(笑)。あれにもロッテが重要な位置で出て来ますが」

ご「あとは竜崎遼児月刊ジャンプで『どぐされ球団』なんてのをやってたな。アタックスって架空のプロ球団の代打が主人公なんだけど。竜崎はその前に週刊の方のジャンプで、『炎の巨人(ジャイアンツ)』ってのもやってた」

 

G「実名巨人軍漫画の方ですね」

ご「あとマガジンでも峰岸とおるが『素晴らしきバンディッツ』っていう独自プロ球団ものをマガジンでやってたけど。 

  ああいうのって何が目的なのかよくわからなかったな。少年野球を描けば簡単にドラマが有るけど、プロ野球、それも架空の世界を描いてドラマで惹き付けるって、かなりの難度だぞ(笑)」

 

G「たしかに、どれもあまり印象に残ってないですもんね」

ご「あまりというか、まったくだな(笑)。わしなんか、『どぐされ球団』はコミックス全巻買ったんだよ」

 

G「え~(笑)。あまりいないと思いますよ(笑)」

ご「その頃はそれだけプロ野球が好きだったのよ。

  でも、内容に関しては全く印象に残ってないもんな(笑)」

 

G「いかに水島先生とちば先生が偉大かですねえ」