無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

テレビ主題歌音盤史 ~子供向けドラマ編~(9)

ウルトラマン

 説明不要の、日本を代表する巨大ヒーロー作品です。

 円谷プロがこの作品からカラー制作へと舵を切ったのは、海外販売を視野に入れたものでした。 そうした発想は早くから有ったのに、権利関係の詰めがあまりに甘すぎたために、今では海外展開が非常に不自由となっているというのは、あまりにも皮肉です。

 皇太子殿下が浩宮殿下と呼ばれていらした頃、この『ウルトラマン』と『ジャングル大帝』がお好きであると報じられています。情報出典が不明ながら、昭和42年に初めてデパートでのお買い物を体験された際に怪獣図鑑をお買い上げになっているので、事実であろうと思われます。

 

 凄まじい人気番組であり、しかも日音主導による全社均衡の音源貸し出しにより、放送当時に限っても非常に数多い音盤が制作されました。

 中で破格に多く売れたと思われるのがテイチクのレコードとソノラマのシートです。

 その他には、レコードがコロムビア東芝(2種)、キングは『オバケのQ太郎』との抱き合わせ、更にレコード針で有名だったナガオカまで、『快獣ブースカ』との抱き合わせで発売しました。

 

 シートは、コロムビアとテイチクがシートでも発売し、更にミュージックグラフ。コダマプレスがシートで、朝日ソノラマ勁文社、ビクター、現代芸術社は、それぞれ2種ずつをこれもシートで発売しています。

 これだけの社が発売した上に、そのうち7社もが2種ずつ発売したというのは、全体として考えたら、かなりの市場規模だった事が伺えます。

 流石に音盤売り上げも「ウルトラ」だったわけです。

 

 

わんぱく砦

 『バックナンバー333』の後番組である、日曜18時30分からのダイハツ提供枠の番組です。

 『シャボン玉ホリデー』と『バットマン』に挟まれるという状況としては合格の視聴率を弾いたようで、一年近く放送され、その後も暫く子供向け時代劇路線が続く事となりました。

 

 子供版七人の侍という風情で、様々な得手を持つ子供七人の集団が、あちこちの困り事を解決するという話のようです。

 経理役の伴刀左衛門(ばん・とうざえもん=番頭のもじりと思われる)を、子役時代の火野正平が演じていました。*1

 また、怪力の十杯役を古川ロッパの倅である古川ロックが演っていました。

 

 音盤はテイチクの独占で、レコードとシート、二種類を出しています。

 シート版の方は、ドラマも収録されました。 

 

 

アタック拳

 これまた『わんぱく砦』の少し後から始まった、日曜18時半枠で、『シャボン玉』『バットマン』 に加えて『わんぱく砦』に先行されたため散々だったと見えて、僅か14回で終了となりました。

 自動車による移動レストラン”アタック軒”の安宅拳太郎の元へ指令が下ると、彼はスーパーエンジンのポンコツカーを駆り出し、特殊任務を遂行するという、スパイブームを反映した、川崎のぼる原作漫画の実写化作品です。

 『スパイキャッチャーJ3』の後継作品とも捉えられますが、こちらの方は、ややユルい感じの作りだったようです。

 

 これも何故か真裏番組の『わんぱく砦』同様にテイチク独占となっており、これまたレコードとシートの両面展開が採られています。

 シートにドラマが収録されているのも、『わんぱく砦』同様です。

 

 

 

*1:「'60年代甦る昭和特撮ヒーロー」石橋春海(コスミック出版)