無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

テレビ主題歌音盤史 ~子供向けドラマ編~(8)

オーイわーいチチチ

 『サザエさん』『アッちゃん』等、漫画をホームドラマ化したものがウケ始めた時代に、ホームドラマを漫画化しようという動きとなったものでした。

 松村達雄の祖父、小泉博の父、中村玉緒の母、そして三人の子供に恵とも子の居候女学生という、お互いに動物の名前で呼び合う7人家族と、時々上京してくる浪花千栄子の祖母を楽しく活写したホームドラマです。

 10歳の長男をリーダーに、現代っ子である三人の子供たちが家の実権を握るという可笑しさを、ハウス食品の提供で描いていました。

 

 主題歌は、今や芸能界の中心にまで位置するジャニーズ事務所の初売り出しとなった、元祖”ジャニーズ”が担当しました。

 レコードもビクターから発売されましたが、B面曲名が『もう7時だよ』となっており、番組は日本テレビ月曜19時からだったので、こちらも主題歌候補だったのかもしれません。

 

 

武田信玄

 織田、豊臣、徳川のような中心的な描かれ方をした事の無い武田信玄を主人公にし、その青春時代を川中島合戦まで描いたものです。

 『009大あばれとんま天狗』の後番組として大塚が提供したもので、子供番組として人気を獲得するため、忍術や妖術といった外連味も取り入れています。

 主題歌は、子供にも人気が有った山田太郎が歌い、レコードもクラウンから発売されました。

 

 

マグマ大使

 ロケット人間のマグマ大使一家と、悪の権化ゴアや彼の繰り出す怪獣たちとの戦いを描いた、日本初のカラー特撮テレビ番組、世界初の巨大ヒーロー物として名高い番組です。かの『ウルトラマン』よりも、約二週間ほど先んじました。

 手塚治虫の名を用いた漫画を原作としており、その許諾は、元々が漫画家だったピープロ社長の鷺巣富雄(漫画家名=うしおそうじ)が同業のよしみで手塚から貰い受けたものだと、うしお本人は語っていたものです。

 

 東急エージェンシーという新興の代理店(橋本一郎氏曰く東急のお坊ちゃまが作った会社)が、ピープロの番組制作としてロッテに渡りを付けて始めた番組で、ピープロは言ってみれば下請けみたいな位置でした。

 この番組と、すぐ後に始まるウルトラマン、この番組の前に始まっていたウルトラQにより、世は(第一次)怪獣ブームの様相を呈していきます。

 

 主題歌は、コール東京という男声コーラスが歌っていましたが、途中の「SOS SOS カシーン カシーン カシーン」という声は、鉄腕アトムの声でお馴染みだった清水マリが担当しています。

 元々は番組にも出ていた江木俊夫が担当する予定だったものが、作曲の山本直純が納得せず、やむなく別のスタジオにたまたま居た清水マリに朝日ソノラマ橋本一郎が頼んでやって貰ったところ、山本のOKが出たという事のようです。*1

 

 清水マリは、この番組でアース様を演っていた清水元の娘であり、結果的には間接的な親娘共演が実現したものでした。

 尤も、当の清水マリはその収録の事を全く覚えていないらしく、後に橋本からその話を聞いて、ギャラを貰えば良かったと、先日のトークイベントで笑い話をしていました。

 

 音盤は、その朝日ソノラマが番組中でよくカラオケだけかかっていた『ガムの歌』と組み合わせてソノシートを出しました。

 ソノラマは半年程して、違うドラマと新曲『ゴアの歌』を加えた3曲収録で第二弾を出し、更に半年程してカラーテレビカードという新しい形態の物を総決算のように発売しました。

 レコードはポリドールがキンダーレコードとして、またコロムビアも、ゆりかご会によるカバー盤を出しています。

 いきなりキンダーレコードが絡んできた事情は今のところ謎です。

 

*1:鉄腕アトムの歌が聞こえる」橋本一郎少年画報社