無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

テレビ主題歌音盤史 ~子供向けドラマ編~(6)

昭和41年

 

ウルトラQ

 あまりにも有名な番組ですので、細かい解説は不要でしょう。

 これこそが”ウルトラシリーズ”の始まりであり、毎週違った怪獣がテレビに登場するようになった最初の番組で、現在にまで至る怪獣天国ニッポンを作り上げた、円谷プロの意欲作です。

 

 昭和39年11月には既に新聞で採り上げられるなど、注目度は高かったのですが、TBSに長年貢献してきた宣弘社の『隠密剣士』がなかなか切られず、放映が伸び伸びとなりました。

 これは、当時の上層部級の大人には、まだ怪獣がゲテモノにしか見えず、本当に視聴率が取れるのか訝しんでいたというのが有るようです。

 既にゴジラガメラは子供たちの人気映画でしたが、当時の小さかったテレビの画面では、怪獣の大きさなどが伝わりにくいだろうという懸念なども有ったのでしょう。

 

 朝日ソノラマは、いち早く音盤化を決めていたのですが、その矢先に『隠密剣士』の路線変更による延長となり、やはり怪獣物を嫌がっていた上層部の人間が、本当に放送されるのかと嫌味を言っていたようです。

 それだけに、放送が決定した時には待ちかねた思いだったようですが、蓋を開けてみれば、これが番組も音盤も大当たりでした。

 

 音盤はTBS系列の日音が仕切る形で、希望する全ての社に音源が与えられたようです。

 ところが、この音源が曲者で、番組とはなんの関連性も無い歌が2曲(大怪獣の歌・ウルトラマーチ)入っているという代物でした。当時買った子供たちは、なんの歌だろうと不思議がりながら、冊子の方の怪獣に見入っていたようです。

 『ウルトラQ』には主題歌というものが無く、開始音楽が流れる形でした。今なら、あの音楽のまま収録という形でも商品化されると思いますが、当時は、子供たちが歌える歌が無いと厳しいと思われたのでしょう。

 

 その音盤の商品化ですが、非常に多くの会社が参入しました。

 朝日ソノラマ勁文社、日本ビクター、現代芸術社、日本コロムビア、コダマプレス、ソノレコードがシートを、東芝が唯一のレコードを発売しています。

 勁文社と現代芸術社は、目新しい形の超縦長ジャケットを用い、この形はかなり後にソノラマも取り入れることになります。

 ビクターはお話がガラモンとラゴンの2種を出しており、ソノレコードは美麗なカラーピクチャーシートで独自性を出しました。

 

 

快傑黒頭巾

 高垣眸の原作を、『隠密剣士』の船床定男監督・伊上勝脚本という黄金コンビで描いたものでした。

 しかし、手塚治虫の『W3』の真裏に『ウルトラQ』が来てしまい、視聴率が落ちたという事で、この『快傑黒頭巾』と枠交換という形になりました。

 そして、この番組が怪獣ブームの暴風の渦に消えていく事となったのです。

 

 普段は易者で、勤王の志士を守る時に黒頭巾姿で馳せ参じるという、鞍馬天狗の焼き直しのような内容でした。

 主題歌は平野こうじが歌い、故に彼が所属するビクターからレコードが出されています。

 ビクターはビクター出版の方でビクターミュージックブックというドラマ入りのシート盤も扱っており、そちらでも発売されています。

 

 

チャコちゃん

 前作『チャコちゃんハーイ!』から、木曜19時半ライオン提供枠となったチャコちゃんシリーズの一作で、チャコちゃんこと四方晴美単独主演の最後となります。

 次作『チャコねえちゃん』から弟のケンちゃんが登場する事になり、そしてケンちゃんシリーズへと変わっていくのです。

 ケンちゃんシリーズ同様、女の子が主演と言っても腕白な女の子がチャコちゃんで、男勝りの姿を描いていました。

 

 主題歌は、この路線の先駆けである『パパの育児手帳』以来、チャコちゃんとは馴染みの深い芦野宏と四方晴美のコンビで、音盤は芦野が所属した東芝レコードから出されました。

 ビクターもミュージックブックの方で、四方晴美をカバー歌手と組ませてシート発売しています。