無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

テレビ主題歌音盤史 ~子供向けドラマ編~(20)

昭和44年

 

はやと

 前番組『まぼろし城』に続く「まぼろしシリーズ第二弾」という触れ込みの時代劇でした。

 かすみ三段斬りを得意とする冴月隼人とツブテの名人少年リキとが、まぼろし団の悪行に立ち向かうというものです。

 主演は里見浩太朗です。

 

 『まぼろし城』の続きだからか、同様に1クール13本しか制作されませんでしたが、主題歌は独自に作られています。

 但し、単独でのシングル化は見送られ、キングレコードによるEP盤に、海底少年マリン怪奇大作戦、黒い編笠との組合せで収録されました。

 

 

魔神バンダー

 この昭和44年辺りは、テレビ番組が白黒画面中心から総カラー化となる節目の年だったため、在庫蔵出しだのの短命番組が多かった年です。

 この『魔神バンダー』も、映像こそカラーでしたが、本来は昭和42年に放送予定だったものが諸事情で延期されていたものです。

 そのためでしょうが、放送当時から、何か古ぼけたような映像に感じました。やはり13回で終了です。

 

 パロン水星人の守護神である魔神バンダーは、怒ると顔が変わるのですが、題名といい、大映映画『大魔神』のイタダキ企画と言えます。

 ただ、内容はかなり特異なもので、終始好意的なパロン水星人に対し、地球人の身勝手さが際立つ形で描かれており、見終えた後の複雑な気分は独特です。

 

 制作のNMCという所は、特にフジテレビの昼ドラに強かった会社です。

 『芸者っ子』という作品で、それまで低迷していたライオン奥様劇場に一筋の光明を与え、『下町育ち』『男の償い』などヒット作を連発して奥様劇場を支えました。

 

 それらの主題歌を一手にこなしていたのが、笹みどりというクラウンレコードの歌手です。

 最後発で有力な専属歌手の少ないクラウンは、笹を当時としては非常に異例の、テレビ主題歌専門歌手として売り出す戦略を取り、当初は成功を収めました。

 

 この『魔神バンダー』が実際に制作されたのは、正にNMCがライオン奥様劇場を上げ潮に乗せている頃で、この『バンダー』のレコードも、笹みどりを売り出したクラウンが担当しています。

 そしてクラウンは、レコードの他に、シートも同時発売するという異例の売り出し方をしました。

 

 

青空にとび出せ!

 「恋の季節」の大ヒットで、いきなり人気者となったピンキーとキラーズを主演に据えた30分ドラマで、TBS日曜19時半の不二家提供枠です。

 前番組の『怪物くん』まで、この枠は『オバQ』以来の藤子不二雄アニメを放送してきたのですが、視聴率こそ悪くないものの、子供相手のお菓子だと単価が安いという悩みが、この頃の提供製菓会社共通の悩みとして有りました。

 テレビの普及率も上がり、番組提供にかかる費用が上がっていたためでしょうが、不二家は枠の視聴者層をやや上に設定して、もう少し利益率の高いお菓子で稼ぎたかったようです。

 そこで、若者にも人気の高いピンキラを使い、アニメ枠からドラマ枠へと変えたのでした。

 

 お話は、ビルの谷間に取り残されたアパートに住む若者五人が、立ち退き料を頭金としてキャンピング・カーならぬピンキング・カーを購入。

 若者の独立国建設を理想として、その車で商売をしながら旅するというものでした。

 音盤はピンキラによるシングルの一枚として、キングレコードから発売されました。