挿しす世相史「グローブマスター輸送機墜落事故で129名死亡」
昭和28年6月18日(木)夕、米軍立川基地を離陸したアメリカの大型輸送機グローブマスター、C-124型機が、間も無く墜落炎上するという大事故が起き、乗員乗客129名(当時発表133名)全員が死亡するという惨事となりました。
時は朝鮮戦争当時で、休暇を終えて朝鮮へと向かう米軍人が乗っていたものだったと言います。
小平町、現在の東京都小平市小川の畑に墜落したものですが、日本人の死者は無く、近くで農作業をしていた人が一人、それほど酷くない火傷を負っただけでした。
この方のご子息で、事故当時に一緒に農作業をしていた方が証言を残している映像が有りました。
100名を越える死者というのは、当時の航空事故史上最悪のもので、前年12月に同じくグローブマスター機が87名の死者を出す事故を起こして以来の記録でした。
既に日米講和も果たされ、日本は主権を回復したと喧伝されたばかりの当時でしたが、この事故に於いては全てがアメリカの統制下に置かれ、日本側が調査、捜査をすることは許されず、得られる情報も限られていました。
日本に完全な”主権”など認められていない事が早くも露呈した事件でしたが、その事に気付いた日本人は、少なめだったでしょう。
同日に仏印(フランス領インドシナ)で乗員33名全員死亡の事故が、ブラジルでも17名全員死亡の事故が起きており、航空機事故は重なるという事例の一つとなっています。
*1:昭和28年6月18日付読売新聞