昭和唱和ショー「現代っ子」
ナウい、とかイマいなんて言葉が使われていた時期も昭和には有ったが、それらはアッと言う間に古びた言葉となってしまった。切り取る時代の範囲を限定した言葉であるほど、その言葉の賞味期限が短くなってしまう。
やはり昭和によく聞いた言葉で、「現代っ子」というのが有る。
ワタクシも子供の頃、親が何か有ると「現代っ子だね~~」と呆れるように使っていたものだ。つまり、絶対に褒め言葉ではない。
旧世代が、新世代の考え方が理解できないという感覚で時代を分断させた表現である。
この言葉は、昭和37年に生まれたと考えて良い。
そもそもの発祥は、昭和世代にはお馴染みだった、教育評論家のはしりである阿部進が、まだ川崎市の小学校教諭時代に著した『現代子ども気質』という書から来ている概念である。
阿部がそこで殊更に以前の子供と違うとした気質は、「ドライ」「合理的」「金にこだわる」などの点を強く挙げていて、それを殊更に扱った、倉本聰による『現代っ子』なんてドラマも作られた。
それを日活が映画化しているのだが、東宝の菊田一夫お気に入りの中山千夏が長女役なのに、そのままの配役が実現している。
ワタクシは、もう身の回りで聞かなくなって数十年経っているのだが、検索してみたら、今でもわりと使われている言葉のようだ。
という事は、「現代っ子」という言葉は一つでも、それが表す気質はかなりの幅が有るという事になる。
だが、いずれにせよ、あまり褒め言葉では使っていないのは共通しているのだろう。
*1:昭和38年7月23日付読売新聞