無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

漫画投句「ど根性ガエル(吉沢やすみ)」

  

ど根性ガエル:第1巻 男はつらいよの巻

ど根性ガエル:第1巻 男はつらいよの巻

 

 

 ひろしが転んでシャツに貼り付いた、世にも不思議な平面ガエルのギャグ漫画。

 

 ワタクシが初めて週刊少年ジャンプを読んだその号は、永井豪が「れすらまん」という非常に良い意味でくだらない漫画を描いていたので、調べればすぐに判るだろう。

 「英語のれすらーと日本語のまんをくっつけて、れすらまんとしよう」なんて、正義のヒーローとなる決意をする男のギャグ漫画。

 当時まだ小学校の低学年くらいだと思ったが、マンも英語じゃないか…なんて思いながら不思議な気持ちで読んでいた。永井豪のギャグは、小学生には高尚すぎた。

 中学なった頃には理解も出来るようになり、イヤハヤ南友とか楽しんでいたが、ギャグ漫画こそが永井豪の真骨頂だと思っているし、あの時代としてはかなり進んでいたギャグだったと思っている。

 れすらまんの正体、ジャントニオ猪馬という名前には感動したものな。そして猪馬は馬場のように顔が長いため、一つのお面では顔を隠しきれず、二つ使ってようやく隠すのだが、それでも顎とか出てしまう。しかも身長も馬場のようにデカイので、正体は隠せていない。

 更にレスラーパンツ姿で出歩いているしで、すぐに道行く人からジャントニオ猪馬とバレてしまうという漫画だった。

 

 前置きが長くなってしまったが、初めて読んだジャンプで最も印象に残ったのが、その「れすらまん」で、次に印象に残っているのが、「ど根性ガエル」だ。

 その号では、不思議な小汚い少年が、ジッとピョン吉の事を見続けるという話。

 気味悪いと思っていたひろしとピョン吉の二人だったが、その子は道にピョン吉の絵を描いたり、しかもその絵をトラックが通ろうとしたら、身を挺して守ろうとしたり。

 よほどピョン吉のことが好きなんだろうと、ひろしが白シャツにピョン吉の絵を描いて贈ってあげようとピョン吉をモデルに描いたが、それが凄い下手糞なので二人が喧嘩して終わるというオチだった。

 この漫画も、不思議な漫画という感覚だった。

 人間と会話が出来るのは漫画だから不思議とも思わなかったが、まず、なんでカエルがシャツの中にいるのかがわからない。

 そして、その少年がどのような繋がりなのかもわからない。きっと続きが有って、これからその少年との友情のような話になるのだろうと想像したが、その時はジャンプの定期購読はしていなかったので、それきりになってしまった。

 

 その号は確か、ワタクシが熱を出した時だったかに、母親が買ってきてくれた様な気がする。何故ジャンプを選んだのかがわからないが、その頃、やはり母親が急にタイガーマスクのレコードを買ってきたりして、ワタクシも結構テレビのタイガーマスクが好きだったのを見ていたから、「れすらまん」という題名を表紙に見て、これなら読むだろうと思ったのだろうと、いま思い至った。

 数年後、その母親が手術で入院した。蒲田界隈にある梅屋敷という所にある病院で、そこの待合にはジャンプが置いてあった。既に中学年となっていたワタクシは、もう充分に理解できるようになっていたので、たちまちジャンプの虜となってしまった。ワタクシを漫画愛読者に引きずり込んだのは、梅屋敷の病院と、当時の週刊少年ジャンプだった。

 当時のジャンプは、既に王者の風格が漂い始めていた時分だった。侍ジャイアンツ、荒野の少年イサムが有り、すぐに包丁人味平も始まるという時分だ。

 中でも特に好きだったのが、ど根性ガエルだった。

 まだ小学校中学年のワタクシには、漫画は読めても、いま思えばギャグには芯から理解できていないものも多かった。それも有るだろうが、他のギャグ漫画で笑えるものは無かった。

 だが、ど根性ガエルだけは毎回、必ず何回か笑わせてくれた。

 例の少年はその後どうなったのか多少気にしながら読んでいたのだが、後に単行本で全巻読むようになり、実はあの回だけに登場していたのだと知って、なんだったのだろうと思った。

 

 そうこうするうちにテレビの方でも始まり、何故か学校の廊下に局が配布したと思われる(登場人物みんなが列に並んでいるアニメ絵だったような)告知ポスターが貼られたりして、うちの学年ではそれなりの話題となった。

 そんなこんなで、ワタクシは結構など根性ガエルファンとなっていた。

 その頃の漫画は、横に必ず「吉沢やすみ先生にはげましのおたよりを送ろう」とか書いてあった。「はげまし」という言葉はよくわからなかったが、毎回毎回そう言われているうちに、手紙を出したくなってしまった。

 そして、生まれて初めてのファンレターを出したのである。

 文面は、概要ではあるがなんとなく覚えている。

 「他の漫画では笑えないけれど、この漫画だけは毎回2、3回は笑えます。だから呼ばせて下さい。大先生」。

 こんな文面で、いま書いてみると気恥ずかしいものだが、なにしろまだ小学校中学年くらいの頃なのでご愛敬だ。

 

 だが、そんな自分なりの気持ちを込めた文章に、返信は無かった。

 子供なりに、忙しいから来ないのだろうなとは思っていたが、少しはガッカリした。また、自分の字が汚すぎて届かなかったのではと心配にもなった。

 実際、その可能性も結構ある。数年前に「宇宙猿人ゴリ」のガムだったかで当たりが出て、それを送ったのに何も貰えなかったことが有ったから。あの時は、親に書いてもらえば良かったと激しく後悔した。とにかくワタクシは、子供ながら自分でも痛感していたほどに、字が汚かった。

 だから、きっと届かなかったのだろう。

 でも今にして思うと、「2、3回は笑えます」って、褒め言葉とは受け取れないよな。

 当時の自分としては、毎回欠かさず最低2、3回は笑える漫画なんて驚異的なことで、どうしてもその事を伝えたかったのだが、描いている方としては、なんだそんなものかくらいに取れる表現だ。

 どうもワタクシは「馬鹿」正直なところが有って、よく真意を曲解されてしまうのだが、それもまたやむを得まい。

 

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