挿しす世相史「栄典制度一部復活閣議決定」
昭和28年9月18日(金)、GHQにより昭和21年以来廃止されていた生存者に対する栄典制度を、緊急を要するものに限定してではありますが、復活させる事を政府が閣議決定しました。
これは多発していた災害に尽力した人々に、取り敢えず急ぎ勲章を授与できるようにとの計らいだったようです。
ただ、栄典復活もかねてから吉田茂首相の宿願だったようで、野党の反対が予想される事柄だけに、先ずは野党も認めざるを得ないところからという事だったのでしょう。
本格的に復活するのは、池田内閣の昭和39年となります。
行われていなかったとは言え、将来を見越して既に憲法には規定されていました。
日本国憲法(抄)(昭和21年11月3日)
第七條
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
七 栄典を授与すること。
第十四條
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
栄典の授与は天皇の国事行為のうちの一つで、明治憲法時代も栄典大権と称されていたものです。
*1:昭和28年9月18日付読売新聞夕刊