無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

漫画投句「キャプテン」

Gさん(仮名)「ちばあきおのキャプテンが復活するという報せが、少し前に有りましたが」

ごいんきょ「あれなあ…。どうも、ちばさんの倅さんが働きかけたようなんだが」

 

G「あまり嬉しくなさそうですね(苦笑)」

ご「わしは、そもそも他人の作品を他の作者が勝手に描くという事が信じられないのね。許しがたいとまで思うのよ。

  同人誌でやる事だろ、それって。遊びで。商業的にそういう事をできる感性が、とても信じられない。編集部も、作者も」

 

G「倅さんも言ってますが、ちばさんの功績をなるべく長く残したいという事なんでしょうが」

ご「だったら、そのまま再掲載すればいいだろう。”何も足さない何も引かない”なんて、このコピーもサントリー山崎のそのままパクリなんだけどさ。もし本当にそのままって事なら、本人の原稿を再掲載すればいいじゃないか。編集部だって執筆料が浮くだろ(笑)」

 

G「なんで、それは出来ないんでしょうね。続編を作りたいという事なんでしょうけど」

ご「だからさ。当時から読んでいる人間とすれば、ちばあきお、せいぜいが七三太朗の考えでないあの世界なんか、勝手に作らないで欲しいのね」

 

G「ちば兄弟末弟の七三さんは、事実上の原作者の一人って感じでしょうからね」

ご「だけど、今回はまったく縁もゆかりも無い漫画家が、独自に話を進めるって話なんだろ、リメイクって事ではなくて。リメイクだって不満は多いのに、独自に話を進めるって、そんな作者を冒涜した話が有るか?」

 

G「なんだか日本も、ディズニー形式みたいに作者が亡くなった後でも金儲けし続けるってのが増えてきましたね~」

ご「だって、ディズニーは自分でああいう形式を作った訳だから、作者本人の意思じゃないか。しかも作者名はディズニーで有り続けている」

 

G「そうですねえ。テレビのクレヨンしんちゃんとかアンパンマンなんかは、作者も独自の展開を或る程度は了承していたんでしょうけど」

ご「基本はあのままで、枝葉の部分を独自に取り入れるってのなら、まだわかるよ。しかし、独自に話を進めるって」

 

G「大昔の話ですが、『赤胴鈴之助』も作者の死後に話が引き継がれましたね」

ご「あれは連載開始直後に福井英一が急逝したためで、話だって殆ど始まってなかったんだろ。キャプテンもプレイボールも、きちんと完結した話なんだから」

 

G「奥さんの方はそういう意識で、復活の話を断った事が有るようですね」

ご「『ちばの物語は終わったんです』という言葉、本当にそう思う。なんか、『プレイボール』が中途半端に終わったっていう捉え方が多くて驚いたんだけど、わしは、あれはきちんと終わっていたと思うのね」

 

G「最後は、墨谷高校に丸井も編入が成功して、イガラシも入学してきて、いよいよ本格的に甲子園を目指そうとみんなでランニングしながら、でも谷口キャプテンは甲子園の遠さを実感しているって感じでしたかね」

ご「やはり高校野球、甲子園となるとさ、なんの強化策もしていない自然体の墨高が出場できるというのは、わしは絵空事になってしまう気がするのね。あの辺までがギリギリの展開だった気がするんだ。だから、上手い退き方だったなと思っていたんだよ」

 

G「そうして退く事で、読者それぞれの胸の中で物語を続かせられますしね」

ご「そこなんだ、一番大事なのは。『ドカベン』だって高校でやめて欲しかったくらいなんだよ、わしは。でも、あれは作者自身が望んだ展開だから仕方無い。グダグダになっていったのに耐えられなければ、勝手に見なければいいから(笑)。

  でも、縁もゆかりも無い人間たちが商業的に勝手に話を進めるというのは、どうにも許しがたいよ」

 

G「ちばてつやさんは、『弟も喜ぶでしょう』と言ってますがねえ」

ご「まだ話も見ていないうちに、ちょっとその台詞は早い気がするがな。せめて一人でも多くの人間がそう思えるような作品にしないといけないし、制作側の重圧もかなりのものだろうし、また、そうでなくてはならない」

 

G「でも、誰が認めてもあなたは認めないんですよね(笑)」

ご「認めないね(笑)。月刊という名になる前の別冊ジャンプ時代から読んでいたわしにとって『キャプテン』『プレイボール』は、ちばあきお名義だけの作品。リメイクなら存在だけは認めるが、続編を勝手に作るという話は、生きている限り認めんよ、わしの中では」