無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(65)

星の子チョビン

 ブルンガに乗っ取られた妖精の星から母親と脱出した王子・チョビンが、ブルンガの放つ刺客を撃退するという内容ですが、チョビンの姿や森の動物たちを始め、お伽噺調の味を活かして作られていました。

 また、途中で母親と生き別れとなったチョビンが母を想う場面が有り、この頃に幾つも作られた母恋物の一つでもあります。

 渡辺プロ系列の渡辺企画が関わっており、そのため、渡辺プロの強力アイドルだった天地真理がナレーターを担当し、主題歌も同プロの藍美代子が担当しました。

 

 藍美代子は、渡辺プロが立ち上げたばかりのワーナー・パイオニア所属でしたので、音盤も必然的に新興のワーナーから出ています。

 新興レコード会社のワーナーパイオニアが、この頃、激戦地であるテレビまんが主題歌の音盤化をこうも獲得できたのは、正に渡辺プロの力に拠りました。

 しかし、いかなナベプロと言えどもテレビまんがは勝手わからぬ地であり、その殆ど全てがあまり芳しくなかったと言えましょう。

 なお、ここまで全てのテレビまんが音盤を超縦長で発売してきたワーナーでしたが、この音盤は普通の形となっています。

 また、朝日ソノラマもパピイシリーズのパンチシートで発売してます。

 

 渡辺企画というのは、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」という歌の際に、東洋レーヨンがバカンスキャンペーンを行ったことから、渡辺プロが代理店業務にも関心を持ち始めたのを受けて、昭和39年に設立された会社です。*1

 通称ナベキと呼ばれたこの会社は、フジテレビ『天下の若者』や、植木等のアイデアル傘、桜井センリキンチョール、森光子のタケヤ味噌など、テレビ番組やCMの名作を、早くも幾つもモノにしていました。

 タレントも、山東昭子大原麗子岡田眞澄桃井かおり高橋洋子などが在籍した事もあり、あまり一般には知られていないものの、渡辺プログループの中でも面白い会社の一つだったと言えましょう。

 

 

みなしごハッチ

 『チョビン』がそうであったように、子供向け番組での母恋物路線は、いまだ健在でした。

 その本家本元の『みなしごハッチ』に、とうとう続編制作が決定されます。しかし、何故か放送局は変更され、関西・毎日放送(関東ではNET)となりました。

 続編では、折角巡り会った母親の死で始まり、妹のアーヤと美しの丘と呼ばれる場所を探し求めるハッチの旅を描いています。

 音盤は、引き続きコロムビアによる竜の子プロ完全独占の最中です。媒体が異なる(という建前の)ソノラマすら立ち入ることが出来ない状態が続きます。

 

 

グレートマジンガー

 こちらは『マジンガーZ』の続編ですが、なぜ、まだ人気だったロボットを新しくしたかと言えば、新しい玩具を出したかったからに違いありません。

 内容としては、前作と殆ど代わり映えのしないものでしたが、ジェットスクランダーというロケット推進の羽部を装着することにより、今度のマジンガーが飛べるようになりました。

 勿論、このスクランダーの玩具が大々的に発売されたことは言うまでもありません。

 東映動画作品ですので、レコードのコロムビア、パンチシートのソノラマという不動の並びです。

 

 

ウリクペン救助隊

 フジテレビ18時55分からの5分間枠で、暫く担当していた竜の子プロが、ここでユニマックスという会社との合同制作となりました。

 そのためか、現在まで一場面も再放映されない幻の作品の一つとなっています。

 内容は、月曜に起きた事件の救助に救助隊の動物たちが向かい、誰が土曜に一番早く到着するかという事が描かれていました。

 そして音盤としては、竜の子プロ作品に関するコロムビアの完全独占がここから解放され、ソノラマもパンチシートで販売するようになっていきます。

 

 

*1:「抱えきれない夢」財団法人渡辺音楽文化フォーラム