無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(64)

ダメおやじ

 古谷三敏の出世漫画で、週刊少年サンデーに長期連載中だったものの、一家の大黒柱をコケにするという、当時としてはタブーのような描写だったため、また、ギャグ漫画ならではのキツイイジメ描写も有り、あまりテレビ化には馴染まないものでした。

 東京12チャンネルが、大手雑誌の長期連載ものが手付かずで残っているのに目を付けたのかもしれません。12チャンネル初制作のテレビまんがとなりました。

 会社でうだつの上がらぬ男が、安月給のため、オニババと呼ぶ妻と一女一男の子供たち三人からも虐待を受けるという姿を描いたもので、当時はそれだけでギャグとして成立するくらい、”親父”という存在は絶対的なものと捉えられていました。

 

 関東地方では25分枠で放送されたため、開始主題歌はかなり早回しの1コーラスで、終了主題歌は流されませんでした。

 12チャンネルは当時、直接的なネット局を持っていませんでしたが、地方局などに番組販売され、そうした場合は30分枠で放送されるのが普通だったでしょう。

 その場合、開始主題歌は動画サイトなどでも見られる、レコードと同様の2コーラスで、最後に「やっぱりダメだった」という、おやじの呟きが入ったものとなっています。

 

 話の最後の方になると流れてくる、なんとも切ない歌が有ったのですが、これが当時話題となった”ゴッド・ファーザー 愛のテーマ”ではなく”バッド・ファーザー 愛のテーマ”という洒落たものでした。

 題名も洒落が効いてますが、歌詞と曲が頗る良く出来ており、このような地方局の注目されない番組に使われたのが勿体ないくらいでした。

 地方局30分放送版では、この歌の2番が終了主題歌として使われました。

 

 音盤は、キングレコードが独占で出しています。

 『チャージマン研』もそうでしたから、両作の制作会社であるナックと独占契約したのでしょうか。

 そう考えるよりも、共に注目されない番組だったから、ソノラマも手を出す気にならなかったと考えた方が無理が無い気がします。

 

 

小さなバイキング ビッケ

 『ムーミン』『ロッキーチャック』『ハイジ』などのズイヨーが、初めて日曜19時半枠以外に進出した作品です。

 バイキングのフラーケ族の頭目であるハルバル父さんの子供ビッケは大変な知恵者で、仲間達の困った事を、いつも機転を利かせて解決します。

 言ってみれば『一休さん』を先駆けるトンチ漫画で、恐らくこの番組の人気が、日本でのとんち本家である『一休さん』の企画に繋がったのだろうと思われます。

 

 日本テレビでの『おんぶおばけ』『冒険コロボックル』に続き、住友生命が局をフジに、枠を水曜19時に持ってきて新たに提供しだしたもので、こちらも”すみせいテレビメイト”の小冊子が契約家庭の子供に無料配布されていました。

 ”すみせいテレビメイト”は、この後、『アラビアンナイト シンドバットの冒険』、そして『ドカベン』まで引き継がれたようです。

 

 開始主題歌は一貫してましたが、終了主題歌は三曲が交代で使われていました。

 音盤は、先ず開始主題歌と、終了主題歌の一つである”小さなビッケと大きな父さん”の二曲シングルが出され、すぐ後に開始・終了主題歌の全4曲を収録したEP盤が、いずれも東宝レコードから出されました。

 東宝レコードは『ムーミン(新)』の時にも同様の音盤展開をしており、ズイヨーの東宝レコードへの協力が有って、終了主題歌が複数使われるようになっていたのでしょう。

 ソノラマもパピイシリーズで2曲収録のものを出しています。

 

 

ゲッターロボ

 永井豪が『マジンガーZ』に続けて出したロボットもの新機軸で、主人公たちが操る乗り物三機が合体の順番を変えると、それぞれ違った形のロボットになるという、漫画表現ならではのものでした。

 永井豪東映動画日本コロムビアのレコード・朝日ソノラマのパンチシートという不動の組合せです。

 

 

たまげ太くん

 石ノ森章太郎のギャグ調漫画『となりのたまげ太くん』を映像化したもので、5分間の番組として制作されました。

 『おはよう!こどもショー』の漫画のコーナーで放送されましたが、『こどもショー』以外の放送では開始主題歌や終了主題歌が放送される事は無くなってしまいました。

 音盤は、東宝レコードの独占となっています。

 これも非常に目立たない作品なので、他社は敬遠したのでしょう。