無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(63)

 昭和49年開始のテレビまんがを見ていきましょう。

 

 

アルプスの少女ハイジ

 両親を亡くした少女ハイジが、アルムの大自然の中で祖父と共に暮らす様子を描いた作品で、それまでのテレビまんがでは考えられない雄大な大自然を事前調査までして描いたものです。

 『山ねずみロッキーチャック』に続いてズイヨー映像が制作したテレビまんがで、ヨハンナ・スピリの同名原作を映像化したものですが、日本向けに宗教色は排除されました。

 宮崎駿高畑勲の二人が、初めて大きな注目を浴びた作品ともなります。

 

 フジテレビ日曜19時半からの『カルピスまんが劇場』枠で放送され、同枠の音盤は『アンデルセン物語』以来コロムビアが担当し、LPも制作するという形です。

 朝日ソノラマもドラマ入りパンチシートで発売し、LPの代わりに4曲入り20cm盤も出しました。

 どれもかなり売れたようで、現在も中古市場で非常に入手が容易です。

 

 

チャージマン研

 月曜から金曜の毎日夕方、10分間という短い時間で放送されていたテレビまんがです。

 従来、ギャグ調でないこのようなものは、連続物で一週間で一話という作りだったのですが、この番組はSFヒーロー作品っぽい作りであるのに、その短い枠で一話完結の放送をしていたのが非常に特異でした。

 インターネット時代になり、その安っぽい作りと短時間故の強引な筋運びが笑いの種となり、それまででは考えられなかった注目を浴びるに至りました。

 

 安価な作品ながら、主題歌はきちんと宮内国郎によって作られ、音盤もキングレコードから発売されました。

 キングの独占音盤となってはいますが、これは枠も放送形態も不遇で、他社がわざわざ権利獲得に走る意欲も湧かない作品だったのだと思います。

 

 

柔道賛歌

 梶原一騎原作の柔道漫画で、週刊少年サンデー貝塚ひろしの絵で連載されていたものです。

 古豪漫画家の貝塚ですが、テレビまんが化された作品は、現在の所これだけのはずです。

 梶原原作らしく、利鎌竜平という鬼コーチが出てくるのは『柔道一直線』と同じですが、主人公の巴突進太に父は亡く、かつて女三四郎として講道館で鳴らした母が主人公に発破を掛けるあたりは、父親が息子をしごいた『巨人の星』の設定を引っ繰り返した感じです。

 

 音盤は、この時期の梶原テレビまんがの流れとして、ワーナーパイオニアの独占となっています。

 『侍ジャイアンツ』『空手バカ一代』と併せて考えれば、WPの実質仕掛人である渡辺プロが、「天地真理」の名を貰った縁を活かして梶原に交渉したという推測が、いよいよ確実と思われます。

 過去のクラウンレコードの例も有りましたが、新興のレコード会社にとって、当たれば非常に大きいテレビまんが主題歌は、なんとか食い込みたい砦だったでしょう。

 梶原実写作品の『愛と誠』『天下一大物伝』などにWPが絡んでいないのは、東京12チャンネル制作のため、売り上げが見込めなさそうな作品と判断したのかもしれません。

 

 

魔女っ子メグちゃん

 NET月曜19時の、いわゆる魔法少女もの枠ですが、それまでの魔法少女ものが少女を最前の対象としていたのに対し、これは更に視聴者層の拡大を図ったか、少年から少し大きいお兄さんまでをも対象としたかのような作りでした。

 劇中で主人公のメグのパンチラやヌードなどの場面がしばしば施されており、 およそテレビまんがとしては初めての、直接的なエロ描写で人気獲得を狙った番組と言えるでしょう。

 

 主題歌は前川陽子が歌っており、『キューティーハニー』と共に、この時期のお色気テレビまんが主題歌を担当しています。

 東映動画作品ですから音盤はコロムビアなのですが、この頃には女王然となり始めていた堀江美都子の歌声は健康的なため、この手の路線は前川が担当し、更に低年齢向けのものは大杉久美子が担当するといった使い分けがされていたようです。

 また、朝日ソノラマもパンチシートを出しています。