無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(62)

エースをねらえ!

 山本鈴美香週刊マーガレットに連載していたテニス漫画を原作としたもので、主人公の岡ひろみが、憧れのお蝶夫人に引けを取らない名テニスプレイヤーへと成長していく話です。

 制作が関西・毎日放送だったため、本放送はNET(現テレビ朝日)でしたが、昭和50年のネット局総入れ替えによって毎日放送がTBS系になりました。

 それにより毎日放送制作番組がNET=テレビ朝日での再放送がされなくなり、また、逆に朝日放送制作の番組も本放送当時のTBSで再放送されるのが難しくなったため、この番組を始め、この時期の朝日&毎日放送制作テレビまんがが、大量に日本テレビ系で再放送される事となりました(ジャングル黒べえ空手バカ一代ど根性ガエル等々)。

 その夕方再放送枠は視聴率20%を越える人気枠だったため、『宇宙戦艦ヤマト』『ルパン三世』を始め数多くのテレビまんがが再生されたのですが、この『エースをねらえ!』も本放送ではパッとしなかったのが、この再放送で人気を呼び、後に『新エースをねらえ!』制作となりました。

 

 主題歌音盤は、東宝レコードから出されました。

 朝日ソノラマもパピイシリーズで出していますが、『侍ジャイアンツ』などと同様に、十八番のドラマ収録が無く2曲収録のみとなっています。

 制作費の問題なのかとも思いましたが、同時期の実写作品などは普通にドラマ入りなので、東京ムービー側が番組音源を貸し出さなかったのでしょう。

 かと言って、ソノラマが独自に一からドラマ制作する力は、かなり以前に無くなっていました。

 

 

冒険コロボックル

 小人のコロボックルの男女三人が人間世界にやってきて、せいたかくんという男の子と交流する様を描いたものでした。

 『おんぶおばけ』の後番組で、やはり住友生命が有力提供企業のため、児童文学を元にした名作調路線が堅持されています。

 この番組でも勿論、すみせいテレビメイトは発行されていました。

 

 音盤も引き続きキングレコードが手掛けていますが、『おんぶおばけ』では挿入歌レコードを多発したのに対し、この番組ではシングルは一枚ながら、LPレコードを出すという英断を行っています。

 しかも、劇中BGMで構成されており、こうした形式のテレビまんが音盤はこれが初めてとなります。

 この時期に曲を沢山作ってLPを出すというやり方だったコロムビアを向こうに回して販路を開くには、様々な権利者懐柔策が必要だったのでしょう。

 それが功を奏したのか、この番組では完全独占となっています。

 

 

侍ジャイアンツ

 父親が鯨に飲まれたため、デッカイ奴が大嫌いという番塲蛮(ばんば・ばん)が、忌み嫌っていた読売球団に入団して、結局は活躍するという野球漫画です。

 元々は梶原一騎の原作で週刊ジャンプに連載されており、『巨人の星』を焼き直したような人物構成となっています。

 また、荒唐無稽な魔球や打法は更に強力化しています。

 テレビ版は、漫画版を更に明るくした設定で、特に最終回は全く違った結末となりました。

 

 音盤は、ワーナー・パイオニアから超縦長ジャケで出されました。

 『空手バカ一代』と同様、梶原一騎の作品ですので、渡辺プロと梶原一騎の繋がりによるものだと理解できます。

 但し、こちらはソノラマもパピイシリーズで音盤化しています。

 ソノラマお得意のドラマ収録が無いのは『エースをねらえ!』で書いた通りですが、『空手バカ一代』『柔道賛歌』はWPの完全独占となっていたのですから、何故この番組ではソノラマも出せたのかは気になるところです。出版社の違いでしょうか。

 なお、番組後期に開始・終了時とも主題歌が変更され、そちらの音盤はワーナー・パイオニアの完全独占となっています。

 

 
キューティーハニー

 如月博士の発明による空中元素固定装置を備えたアンドロイドのハニーが、パンサークローという悪の結社とやり合うもので、永井豪原作らしいお色気描写が話題となりました。

 『デビルマン』、そして『ミクロイドS』の後番組となり、従って両作品と構成が同じで、キー局では終了主題歌や予告編は放送されませんでした。また、開始主題歌も1番だけの短いものでした。

 

 音盤は、NET・東映動画作品ですので、コロムビアのレコードとソノラマのパンチシートといういつもの並び。

 コロムビアは超縦長ジャケのSCS500系です。

 ソノラマの方は、きちんとドラマ入りとなっています。