無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(59)

ジャングル黒べえ

 タイトル画面の上にわざわざ「原作 藤子不二雄」と出ます。

 つまりこれは、本当は原作は藤子不二雄というわけではないよという事です(笑)。

 元々は宮崎駿がコロボックルの話で描きたかったようですが、当時まだ無名だったために局側が難色を示し、著名作家の藤子不二雄の名前で番組化に漕ぎ着けたものです。*1

 藤子Fの方に東京ムービー側が頭を下げた際に、藤子F側で設定を少しいじり、ジャングルからやって来たズッコケ魔法使いの話となりました。

 

 音盤としましては、日本コロムビアのレコードと、朝日ソノラマのパンチシートという、いつもの組合せ。

 歌手は大杉久美子が『アタックNo.1』以来4年ぶりのテレビまんが主題歌を担当し、これ以後の暫く、コロムビアを主として活躍するアニソン女王の一人となります。

 

 あまり注目された番組ではありませんでしたが、平成になってすぐの頃に黒人差別を糾弾する風潮の中で、差別的な描写は無いにも関わらず扱われづらい作品となってしまいましたが、東映の裏方面への強さを借りる形で、無事にDVD化となりました。 

 

 

ドラえもん

 今にまで続いているものとは別で、昭和48年に日本テレビ系にて、日本テレビ動画の制作で放送されていたものです。

 ワタクシ などはテレビ化の話が小学館学習雑誌に出てからというもの、放送前でも今か今かと待ち倦ねていた番組でしたが、世間的には話題にならず、普通に2クール(26本)で終わってしまいました。

 6年後にテレビ朝日シンエイ動画の制作でまたテレビ化されましたが、そちらの方は大当たりとなり、第二のサザエさんと呼ぶべき国民的漫画となりました。

 

 音盤としましては、日本テレビという局とは関係性が低めだったコロムビアが、ここにも食い込んできました。制作プロが新規の所だったのが関係しているかもしれません。

 歌手の内藤はるみは、例によって『ちびっこのどじまん』出身者です。

 先ず4曲入りのEP盤が出て、次に超縦長のSCS500番台で開始・終了の両主題歌二曲で発売されました。

 まったく注目されない番組だったのに、何故2種の音盤が出されたのか、かなりの謎です。

 

 

ワンサくん

 三和銀行のマスコットとして企画されたので、名前が「三和」を逆読みしたものとなっています。「三和のワンサ」として、暫くの間、親しまれました。

 『てづかマガジンれお』という虫プロ発行の子供向け雑誌に連載された後、 テレビまんが化されたのですが、西崎義展が仕切ったために『海のトリトン』と共に、手塚アニメとしての扱いとしては独特な位置に有る作品です。

 物凄く端折って書けば、手塚の版権を西崎がパクったという事のようですが、詳細が語られる事は今後も難しいでしょう。

 

 しかし、西崎という人物は作品に懸けるものも確かに有ったようで、このすぐ後には『宇宙戦艦ヤマト』を興しますし、『海のトリトン』も、所謂アニメマニアの先駆けを産みました。

 『ヤマト』もそうですが、この『ワンサくん』でも金に糸目を付けぬ潤沢な制作ぶりだったようで、およそそれまでのテレビまんがでは有り得なかったミュージカル路線を実現させました。

 但しその資金には、手塚が手塩に掛けたキャラクターたちの版権をパクったものが使われていたと思われます。*2

 音盤としましては、コロムビアが正副主題歌の盤と挿入歌の盤を出しており、主題歌二曲は ソノラマもパピイシリーズで出しています。