無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(55)

赤胴鈴之助

 この年も『のらくろ』以来のリバイバルが続き、『月光仮面』と並ぶように、ラジオ・白黒テレビ時代に大人気を博したドラマ『赤胴鈴之助』がカラーテレビまんがとして復活しました。

 千葉周作道場に学ぶ鈴之助の姿を描くものですが、今回は漫画としての表現力を大幅に取り入れ、鈴之助の必殺技である”真空斬り”の描写が、竜巻のような物凄いものとなっていました。

 ラジオ及び白黒テレビドラマで吉永小百合が演じた千葉周作の娘も、さゆりという名のままで登場しました。

 

 開始主題歌は、ラジオや白黒テレビと同じ曲が使われましたが、歌詞のごく一部、”親はいないが元気な笑顔 弱い人には味方する”の部分が、”元気いっぱい一度や二度の失敗なんかにゃ挫けない”と改められました。

 実際に親がいない子に配慮したのだと思われますが、『みなしごハッチ』以来の母恋ものブームの流れには便乗して、この番組でも鈴之助の母親への思いがよく描かれていました。

 終了主題歌は、当初は”赤胴音頭”というものでしたが、回が進んで鈴之助が真空斬りに取り組むようになると、アップテンポの”赤胴真空斬り”という歌に替わりました。

 

 音盤は、先ずコロムビアが初期主題歌の二曲を収録したものを出し、ソノラマも、その二曲にドラマを加えたパピイシリーズを出しました。

 二番目の終了主題歌”赤胴真空斬り”は、コロムビアが以前の2曲に加えて、さゆりちゃんの歌との全4曲収録のEP盤を出し、ソノラマもパピイシリーズで出しましたが、いずれも極端に出回りが少ない物となっています。

 

 また、万創もソノラマ製作のソノシートを付けた絵本を発売していますので、この番組の提供にも万創は加わっていたのでしょう。

 なお、主たるスポンサーはラジオ・白黒テレビドラマを提供していた日本水産が、この番組でも引き受けていました。

 

 

ミュンヘンへの道

 ミュンヘンオリンピック直前に、金メダルが期待された男子バレーボールチームを実名で扱ったテレビまんがで、ドキュメンタリーに近い作りでした。

 TBS日曜19時半の不二家枠で、この枠でも『サインはV』『美しきチャレンジャー』といったスポ根ものの人気作は有ったものの、男子を描いたスポ根ものは当枠では異質でした。

 

 主題歌も、あまり子供に受けるようなものではありませんでしたが、ハニーナイツの歌うテレビ版主題歌はビクターから発売されました。

 放送回数もほぼ1クールと短く、あまり人気も出そうにない番組でしたが、テイチクがユニオンレーベルからカバー盤を出しています。そちらの歌い手はグリーン・ブライトでした。

 TBSはコロムビアと関係が遠かったようで、さしものコロムビアが子供番組の主題歌音盤で食い込めていません。

 この番組の主題歌を出したビクターは、このすぐ後にTBS直属のレコード会社、東京レコードを引き受ける事になります。

 

 

デビルマン

 永井豪原作の漫画ですが、少年マガジンに連載されていたデビルマンとの内容の違いが物凄いものとなっています。

 こちらは単純明快な子供向け変身ヒーローもので、悪魔という存在を人間を守るものとした逆転の発想が永井豪らしいです。

 

 NETは、これをTBSの怪物番組『8時だョ!全員集合』対策に起用し、土曜20時から『人造人間キカイダー』、そして20時半から、この『デビルマン』を並べるという、子供籠絡作戦に出ました。

 この熾烈な争いは、当時の子供たちのチャンネル選びを非常に悩ませたものです。

 

 音盤は、NETの子供番組ですので、コロムビアのレコードとソノラマのパピイシリーズという不動の並びでした。

 パピイシリーズは、従来のシングルレコードに比べるとやや縦長の作りで、これはレコード店に陳列された際に、頭が出て目立つという利点が有りました。

 そこでコロムビアは対抗作として、子供向け音盤のSCSシリーズに、更に異様に縦長の500番台を『ウルトラマンA』から採用し、『デビルマン』はテレビまんがとしては最初となるSCS-502として発売されました。

 後に通常ジャケットの大きさで再発売されています。