朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(35)
冒険少年シャダー
日本テレビで18:35から10分間の帯番組で、月曜から土曜まで毎日放送されていた枠です。
毎日少しずつ話が進み、土曜で一区切りついて、また月曜から新たな話が始まるという形式でした。昭和40年代には、こうした形式の番組が幾つか存在していました。
シャダー役の北條美智留は、劇作家・北條秀司の娘で、昭和32年に『名馬チャンピオン』の少年、更にはテレビ史に残る『名犬ラッシー』のジェフ少年の声を演じたのが、この世界での始まりでした。*1
テレビまんがでは『〇戦はやと』の隼人役も演じており、往時は「少年役ナンバー1」と称されていたのでした。
テレビ版OPは、この北條美智留の「冒険少年シャダー!」という叫びで始まります。これは前番組の『とびだせ!バッチリ』からの踏襲で、制作の日本放送動画の作品は、何故か一貫してこの形態で始まってました。
作詞として寺山修司の名が表示されているのが、その世界では有名な話で、『あしたのジョー』より前の、寺山がテレビまんがの作詞をした最初なのではないかと思われます。
とにかく全てのテレビまんが主題歌をソノシートにしてしまおうといった風情だった朝日ソノラマは、このような、まったく注目を浴びていない作品でもソノシート化しました。
歌手の鈴木忠が専属していたのか、東芝もレコードを出しています。
以前はあまりテレビまんがの音盤に乗り気でなかった東芝あたりも、この時代には完全にテレビまんがは商売になると認識していたのでしょうが、あまりに作品が地味すぎました。
*1:昭和44年10月30日付読売新聞