無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(31)

 昭和42年放送開始のテレビまんが主題歌を見ていきましょう。先ずは番組題を並べてみます。

 

悟空の大冒険

 『悟空の大冒険』は、テレビまんが第一作である『鉄腕アトム』が、丸4年の放送を遂に終えての後番組です。同じく明治製菓の提供で、明治からED主題歌「悟空が好き好き」を竜子という登場人物が紹介する形で収録した葉書シートが出されました。

 OP主題歌もED主題歌以上に非常に弾けた歌だったのですが、恐らくこれは、或る一定時期から視聴者にED主題歌の替え歌詞を募集するという企画になったようですので、その際に出されたシートだったのではないかと思われます。

 どちらも作詞は吉岡治、作曲は宇野誠一郎ですが、宇野を推薦したのは橋本一郎だったようです。これは、ラジオ番組の『もぐっちょちびっちょ』を橋本がシート化した際からの関係でした。

 

 『もぐっちょちびっちょ』のシートは、その絵を藤子不二雄が担当しており、残存枚数も少なめのため希少価値も出て、現在入手するには数万円を要する物となっています。

 橋本が珍しくラジオ番組のシート化を思いついたのは、脚本の井上ひさしに注目していたからでした。

 井上も、宇野も、更には藤子も、橋本一郎とは後に幾つも大仕事をする事になる訳ですが、その端緒となったのが『もぐっちょちびっちょ大冒険』でした。

 

 夏場になると、『オバQ音頭』で大当たりした夢をもう一度と、『悟空音頭』なる歌が作られ、新ED主題歌として流されました。

 『ジャングル大帝』以来、虫プロ作品の音盤は朝日ソノラマのシートと日本コロムビアのレコードという住み分けが出来ており、最初の主題歌も、この新ED主題歌も、両社からそれぞれ音盤化されました。

 作詞は、『もぐっちょちびっちょ』でも宇野誠一郎と組んだ井上ひさしで、歌は中山千夏が担当しました。この三人組は、『ひょっこりひょうたん島』で幾つも楽曲を吹き込んだ、息の合った組合せでした。

 『ひょっこりひょうたん島』の音盤も、橋本一郎が手掛けた朝日ソノラマのシートが最初の物です。『もぐっちょちびっちょ』の音盤から、これだけの世界が広がっていったのでした。

 

黄金バット

 『黄金バット』は、前年の昭和41年に東映で実写映画化されており、その際に既に主題歌がその映画でも使われていました。作詞は第一動画となっていますから、第一動画も既に制作に入っていて、その主題歌をそのまま流用したのでしょう。

 音盤は、その映画の時に朝日ソノラマがシート発売し、テレビまんが化の際にはソノラマの他、お馴染みのコロムビアに、更にビクター、コダマプレス、ミュージックグラフがシートを発売しました。

 どうも『たたかえ!オスパー』のクラウン独占で何か問題になったのか、日本テレビもTBSのように、一社独占という形での音盤発売がされなくなっておりました。

 ただ、TBSの日音のような音楽出版社である日本テレビ音楽は、まだ設立されていないので、どのような形態で管理していたかは不明です。