無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

朝日ソノラマはなぜ鉄腕アトム主題歌を独占できたのか(28)

 昭和41年開始テレビまんがの話に戻ります。

 『ハリスの旋風』はピープロ作品で、朝日ソノプレスの独占となりました。

 橋本一郎著作にはこの作品の話が出て来ないので、別の者が担当したのでしょう。

 そもそもピープロ第一作の『〇戦はやと』の時には、ソノラマは権利を取れず、ビクターの独占となっていたのですが、この逆転劇にはどのような背後が有ったのでしょうか。

 

 『マグマ大使』は昭和41年7月4日放送開始。『ハリスの旋風』はそれよりやや早く5月5日と、ほぼ同じ頃に制作を開始していたと思われます。

 ですから、『マグマ大使』でピープロとの繋がりが出来た事が大きかったのでしょう。

 しかし、その『マグマ大使』も含め、これ以後のピープロ作品音盤は、どれも複数社共作となっています。

 それなのに、視聴率30%を越える大人気だった『ハリスの旋風』が、何故ソノラマ独占で通ったのでしょうか。

 

 これは、きっと当時の『ハリスの旋風』に対する風当たりの強さが影響しているのではないかとワタクシは考えます。

 当ブログ「漫画投句」で書きましたが、『ハリスの旋風』は、喧嘩漫画第一号と言える内容でした。

 それまで児童向け漫画というものは、エログロは勿論、暴力描写などは考えられないものだったのです。しかし、『ハリスの旋風』では、殴る蹴るという乱暴者の描写が頻出します。

 これを受けて、当時は今では考えられないくらいお堅かったPTA筋などが、特にテレビ版に向けて猛抗議をしていたのでした。

 この辺で、これまで述べてきたように、やはりまだ頭の固かった古いレコード会社の面々は、音盤化に積極的ではなかったのではないかと思います。

 

 『遊星仮面』の音楽は三木鶏郎ですから、『遊星少年パピイ』のように、高額な権利料さえ支払えばなんとかなったのでしょう。ソノラマの他に、勁文社とビクターからも出されました。

 但しビクターは、レコード会社の誇りか、ロイヤル・ナイツを使っての独自原盤としました(テレビ版は鉄人28号・パピイと同じくデューク・エイセス)。

 ビクターは『レインボー戦隊ロビン』でも、ロイヤル・ナイツを使って、ただ一社の独自音源としておりました。

 

 『ロボタン』は大広という広告代理店が直接グリコから受注していたという非常に特殊なテレビまんがで、朝日ソノプレスの他に、テイチクも音盤化しています。

 テイチクはレコード会社ですから当然レコードとして出したのですが、その他に、「テイチク・フォノグラフ」としたシート盤との、二面作戦で音盤化しています。

 意図はよくわかりませんが、両者の実売差を測ってみたのでしょうか。

 

 ロボタンの主題歌は、古今亭志ん朝が歌ったものだけがOP曲として知られているようですが、ワタクシの中学時代に同級生が「ロボタン知らないだろう」と得意がって歌っていた歌は、後に思えば、初代ED曲の『ロボタンマーチ』でした。

 だからワタクシは、後にロボタン主題歌を聞いた時に、(あれー、あいつが歌っていたのと違うな)と思ったものです。

 『ロボタンマーチ』はOP主題歌ではなかったのでしょうか。彼はED主題歌を、わざわざロボタンの歌としてワタクシに吹聴していたのでしょうか。

 

 グリコはお菓子の景品にシート音盤を付けた事も有って、『遊星少年パピイ』と『ロボタン』の物をワタクシは見た事が有ります。

 そして『ロボタン』の景品音盤は、『クリスマス』の歌と共に、『ロボタンマーチ』が収録されているのです。

 普通、こういう場合にED主題歌の方を収録するでしょうか。

 以上のことからワタクシが推測しますに、二年間放送された『ロボタン』は、二年目に入った頃(クリスマス前)にOP主題歌が『ロボタンマーチ』に変更されたのではないでしょうか。

 ネット上でも、そのような実見談を見つけましたので、情況証拠から、ほぼ間違い無いでしょう。

http://akimog.web.fc2.com/animesong/animesong-02.html#robotan

 

 なお、グリコ版ロボタン音盤に関しましては、拙作個人誌に写真を掲載してございます。

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