挿しす世相史「ナンシー梅木がアカデミー助演女優賞を受賞」
昭和33年3月26日(水=現地時間)、アメリカはハリウッドのアカデミー賞に於いて、ナンシー梅木が日本人の演技者として初めての受賞となる、助演女優賞に選出されました。
これより前のノミネートの段階では、作品賞受賞となる『戦場にかける橋』での演技で、早川雪洲も助演男優賞にノミネートされており、日本人男女で助演賞独占の可能性も有った年でした。
梅木が受賞したのは、映画『サヨナラ』での演技に拠るもので、助演男優賞も、同映画でのレッド・バトンズに与えられました。
ナンシー梅木は本来ジャズ歌手で、北海道の米軍キャンプで歌い始めたのがこの道への入り口だったようです。
本名・梅木美代志。当時28歳。北海道小樽に生まれ、小樽高女卒。
昭和23年に上京し、昭和20年代後半は、ジャズ歌手として非常に目立った活動ぶりでした。
昭和30年、招かれてハワイからアメリカに渡り、アーサー・ゴッドフレー・タレントスカウトというテレビ番組で優勝という逸材として活躍している中、ジョシュア・コーガン監督に見出されたものです。
彼女以後も、演技者として受賞した日本人は出て来ておりません。
*1:昭和33年3月27日付読売新聞