無駄じゃ無駄じゃ(?)

すべては無駄なんじゃよ

挿しす世相史「マッカーサー元帥日本を去る」

 昭和26年4月16日(月)朝、極東米軍総司令官のマッカーサー元帥が、5年8ヶ月の滞日任務を終えて離日しました。

 この日の夕刊は、一面のみならずほぼ全面を用いて報道し、元帥への感謝と慈しみに溢れていました。

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  これより前の12日にトルーマン大統領によって解任が発表され、後任にリッジウェイ中将が発表されていました。

 トルーマンは、マッカーサー解任の理由として、朝鮮動乱に於けるアメリカや国連の政策に全幅の支持を与えないと判断した事を挙げていました。

 

 帰米した後、19日にマッカーサーは議会演説を行い、非常に有名となる「老兵は死なず。ただ消え去るのみ」という言葉を残したとされます。

 当時20日付け新聞では、その演説全文が載るなど、まだマッカーサー解任ショックは日本を揺るがしていました。

 その言葉は締めの部分で使われたものですが、ここにその部分の当時訳を載せてみます。

 

 私は今、52年に渡る軍人生活を閉じようとしている。私はまだ20世紀にも入らぬ頃に陸軍に入ったのである。若かりし私にとって、それは少年の希望と夢の実現であった。

 私がウェスト・ポイントの士官学校入学式で感激の宣誓を行ってから幾星霜、世界は幾たびか変転を繰り返した。以来、私の希望も夢も、とうに消え去ってしまった。

 しかし、私は若い頃、兵営で友人たちと歌った「兵隊の歌」の一節をよく覚えている。それは『老兵士は静かにただ消えてゆく、しかし彼は永久に死ぬ事が無い』という意味の事を誇らかに歌うものであった。

 この歌の老兵士と同じように、私は今、軍人生活を閉じ、ただ静かに消えてゆくのである。

 神により託された義務を果たすべく努めた一老兵は今、ただ消えてゆくのである。

 諸君よ、さらば、さようなら。 

 

*1:昭和26年4月16日付読売新聞夕刊