昭和唱和ショー「セブンイレブン」
Gさん(仮名)「なんで今日の題はセブンイレブンなんです? 今でもごく普通に見かけるじゃないですか」
ごいんきょ「君ぃ、セブンイレブンとはどういう事なのか忘れたのかね」
G「ああ、そうか。朝7時開店で夜11時閉店だからですよね、最初は。それでも、かなり便利になったと思ったものでした。そう言えばいつの間にか全部の店が24時間営業になってましたね」
ご「だろう。今では四六時中開いてて当たり前だからみんな忘れているが、店名はそういう意味だったんだから」
G「なんで24時間営業になったんですかね?」
ご「そりゃ、フランチャイズ制だからだろ。鵜匠にしてみれば、鵜どもが一羽一羽、なるべく多くの魚を持ってきてくれればアガリが増えるわけだから。採算は各店のオーナーに押しつければいいんだろ」
G「でも、実働時間が延びる鵜の側はたまったもんじゃないですよね」
ご「だからコンビニオーナーは大変だって話がよく出るな。なにしろインフラでもないのに三百六十五日二十四時間休まない業種なんて狂ってるよ、よくよく考えると(笑)」
G「先日、ロイヤルホストが24時間営業をやめるという話が報道されましたね」
ご「だから今回の話よ。ロイヤルだけじゃない。すかいらーくなんかも続くみたいだな」
G「あの報道で一番意外だったのは、それを称える人が多かった事です」
ご「いや、本当。みんな、まともな感覚を持っていたんだなあと思った。異常だったのは経営側だけだったんだよ。誰も、24時間お店に開いてて欲しいなんて強く望んではいないんだ」
G「それは便利かもしれませんけど、それによって消耗しているものも非常に大きいですもんねえ」
ご「深夜営業でどれだけのアルバイトが危険に晒されたよ。そうでなくとも、深夜は人数を限界まで減らされて、雇われ店長や代理が青息吐息でこなしている惨状だろ。非常に馬鹿げている」
G「正月営業も要らないですかね?」
ご「わしは必要無いと思うよ。開いてなければ開いてないで、いくらでもなんとかなるよ、たかが2、3日。
思い起こせば、日本の正月風景を破壊したのが、アメリカ由来のセブンイレブンだった。彼らが正月も休まず営業し始めて、それが他の客商売にまで波及してしまったんだ。正月の落ち着いた雰囲気を取り戻すためにも、店なんか閉まってた方が良い」
G「そうなると正月に食べる物も貯め置きが必要になりますね」
ご「そこでおせちの復権だよ。今じゃおせちなんか、デパートで買う物になってしまっているけれどな。そうではなくて、自分の家で日持ちする物を作れば良いんだ」
G「おせち好きでしたか?」
ご「いや、全然(笑)。子供が食いたいものってのは無かったな。唯一、雑煮くらいなもので」
G「じゃあ、おせち復活は駄目じゃないですか(笑)」
ご「そうじゃないんだな。なんでも快楽ばかり優先していては堕落するんだよ、人間。年頭くらい、食べたい物を食べられない不自由が有ったって、なんの不都合も無い。
それより接客業の人たちも人並みの正月を送れる世になる事の方が大事だし、正月の風景を取り戻す事の方が、はるかに意味が有る」
G「でも、そうしたらお店を開けている所にお客が集中してしまうから、どこも退けないんでしょうね」
ご「日本人が季節感を失ったから、日本の国土も季節感を失ってしまったんじゃないかな」
G「ちっとも合理性の無い考え方で、若者には理解されないでしょうね」
ご「当たり前だ。半世紀かけて練り上げた思考が、たかだか四半世紀くらいしか経験してない器に入りきるわけないだろうが」
G(アンタがそんなに大きな器とはとても思えん……)
「おせちって、いちいち言い聞かせが有りましたよね」
ご「豆はマメに働くようにとかな。昆布はよろこぶだとか、レンコンは見通しが良くなるとか、そんな事をいちいち言いながら食ってたな両親が」
G「ラーメンとかハンバーガーじゃ、正月を祝いながら食べられないですよね」
ご「どうかな。ラーメン食べたらアーメンとか、ハンバーガー食ったら半分バカになるとか」
G「そんなの駄目じゃないですか(苦笑)」